シンポジウム

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日本植物学会第79回大会では、以下の12のシンポジウム、および、例年通り理事会主催シンポジウムを開催します。理事会主催シンポジウムの概要については、こちらをご覧下さい。

1.自然変異に学ぶ:多様性の理解から育種への応用まで

オーガナイザー:小口理一(東北大)森長 真一(日本大)彦坂 幸毅(東北大)

交配可能な生物間にみられる形質には、大小様々な自然変異が存在する。対象とする形質以外の形質が異なりすぎないため、形質の生態学的・農学的意義の評価を行いやすく、進化学的には種分化において選択を受けた過程についての重要な情報を得ることが期待できる。さらに、交配可能であるため、形質を司る遺伝子に落としやすいという利点もある。本シンポジウムを通じて、異なる研究目的をもち異なる植物を用いる研究者が集まることにより、研究目的や手法を補い合うような効果が生まれることを期待したい。本シンポジウムはJST・CREST「将来の地球環境において最適な光合成・物質生産システムを持った強化植物の創出」(代表 彦坂幸毅)との共催で行う。

2.ポストゲノム時代の植物進化研究

オーガナイザー:豊倉浩一(神戸大)市橋泰範(理研)

次世代シークエンサー等の新技術により多くの生物のゲノム解読がなされ、植物の系統進化の理解が進んできた。しかし、ゲノムを解読するだけでは植物形態・生理応答の多様性の理解は進まない。本シンポジウムでは、国内外で活躍する新進気鋭の日本人若手研究者による、対象(藻類から種子植物まで)も手法(トランスクリプトーム解析、順遺伝学、逆遺伝学、ゲノム解析、生態学的解析)も多様性に富んだ研究者たちによるポストゲノム時代の進化研究を紹介する。

3. 根系の構築 ー多様な構造と働きー

オーガナイザー:郷達明(神戸大)寿崎拓哉(基生研)

植物の根は、植物体の支持、水分や栄養の効率的な吸収と輸送などの機能を担うために、環境に適した根系を構築している。本シンポジウムでは、根系の構築を支える分裂組織のサイズ制御、カスパリー線形成、側根発生、根粒および寄生植物の吸器の形成、そして、根系全体の形状制御について若手研究者による先端的研究を紹介し、包括的に根系構築の理解を深めるとともに、根系改良への可能性を探っていく。

4. これからの光合成研究:ローカルミニマムからの解放を目指して

オーガナイザー:吉田啓亮(東京工業大)小山内崇(明治大)得津隆太郎(基生研)

近年の光合成研究の進展により、光合成装置の構造的基盤、分子レベルでの制御機構、環境応答ダイナミクスといった様々なレベルで光合成の理解が深まっている。また、これらの知見に立脚して光合成機能を強化することにより、低炭素社会の実現といった社会的要請に応えることは、光合成研究者にとって喫緊の課題である。本シンポジウムでは、研究現場の最前線に立つ若手の研究者が幅広い視点から光合成研究の現状をレビューし、将来を展望する。

5. 細胞機能の変容と循環を視る〜可逆性と不可逆性から探る細胞分化の本質〜

オーガナイザー:小田祥久(国立遺伝研)

植物の体細胞は高い分化多能性を持ち、発生および環境応答における植物の柔軟な振る舞いを可能にしている。一方、維管束組織においてみられるように、ある種の細胞は劇的な細胞内構造の変化を伴い、不可逆的な細胞機能の変容を遂げる。本シンポジウムではこのような細胞の可逆的、不可逆的な振る舞いの双方に焦点を当て、細胞分化の本質を議論する。演者には細胞生物学と発生生物学で活躍する若手研究者を交え、それぞれの分野を超えた議論展開を試みる。

6. 花から種子へ — 稔りを巡る研究の新展開

オーガナイザー:丸山大輔(名古屋大)角井宏行(University of Zurich)

被子植物の生殖は、種の維持に必須であるばかりでなく、穀類や果実の生産の基盤となる現象という側面においても重要な研究分野である。近年、バイオインフォマティクスやライブイメージングの発展を受け、この研究分野でも、性決定、配偶体形成、重複受精などの多様なテーマで発見が相次いでいる。本シンポジウムではその一部を若手研究者の成果という形で紹介する。これらを通じて、生殖分野の魅力や今後の展開について議論を深めたい。

7. 形態学と生理学の融合に向けて –植物の「形」と「現象」の狭間を埋める研究の最前線-

オーガナイザー:宮沢豊(山形大)唐原一郎(富山大)鮫島正純(綜合画像研究支援)

構造を理解する形態学と機能を理解する生理学は、時に対比されながらも数世紀にわたり植物学を支えてきた学問領域である。近年の解析技術の革新により、形態学、生理学双方の観点から見た植物の「像」は明確なものとなった。一方で、空間分解能の向上による形態構造の理解と生理機能の関連に関する理解はますます乖離しているのも事実である。本シンポジウムでは、植物の形態・構造と生理現象の理解を橋渡しする先端的研究や技術を例として紹介し、現状の植物学の課題について議論し、それを解決する融合研究の促進を図る。本シンポジウムは、認定NPO法人綜合画像研究支援との共催で行う。

8. 植物生理機能の多様性を担うnon-coding RNA

オーガナイザー:大谷美沙都(奈良先端科学技術大)小宮怜奈(沖縄科学技術大)

シーケンサー技術の進歩により、タンパク質をコードしないnon-coding RNA が数多く同定され、ヒトをはじめ多くの生物において、生命機能制御の中枢を担っていることが報告されている。本シンポジウムでは、幅広い植物生理学的課題をターゲットに研究している方々を演者に迎え、植物non-coding RNAの生合成や作用機序について最新の情報を提供し、植物生理機能におけるnon-coding RNAの役割を議論したい。さらに、海外で活躍されている日本人研究者2名を演者に迎えることで、海外最先端の動向を国内学生・研究者に提供する良い契機とすることもシンポジウムの狙いの一つである。

9. 適応形質の進化

オーガナイザー:長谷部光泰(基生研/総研大)川口正代司(基生研/総研大)

 

自然選択理論、中立理論を始めとする既存の進化理論がいまだ取り込むことに成功していない問題がある。完成した状態では適応的だが、完成するまでの途中段階では適応的でなく、かえって生存に不利になってしまうような形質、すなわち複合適応形質である。本シンポジウムでは、複合適応形質がどのように進化したのかを8名の演者に講演いただき、それらを総括して、複合適応形質進化の一般性を探ることを目的とする。

10. 環境に応じた植物の形づくりを支える仕組み

オーガナイザー:石崎公庸(神戸大) 梅田正明(奈良先端科学技術大)

植物は動物と異なり、体内に散在するメリステムを中心に形づくりを行う。一方で、生物・非生物とのコミュニケーションは植物の生存を最適化する上で極めて重要である。本シンポジウムでは、植物が行うコミュニケーションの実体を明らかにしようとする研究者と、環境に応じた細胞分裂の制御マシーナリーを明らかにしようとする研究者が最新の話題を提供し、植物がいかに環境要因を理解し、自らの形づくりに反映しているかを議論したい。

11. 植物の環境認識と自律分散型情報統御システム

オーガナイザー:木下俊則(名古屋大)多田安臣(名古屋大)

植物は、環境ストレスに対して個々の器官で自律的に応答しつつ、同時にその情報を長距離伝達することで統合的に処理・記憶し、個体として持続的な成長を可能にしている。こうした植物のダイナミックな環境認識と記憶のしくみを支える時空間的なシグナル伝達機構の解明は喫緊の課題である。本シンポジウムでは、多様な技術的背景に基づき得られた最新成果を紹介し、植物における環境情報の自律分散型統御システムについて議論する。

12. 受精における「融合」:動植物の垣根を越えて

オーガナイザー:大和勝幸(近畿大)朽津和幸(東京理科大)

有性生殖では、配偶子の融合によって生命が新生し、新たな個体が生み出される。「分裂」を基本とする細胞が、敢えてその逆のプロセスである「融合」を進化の過程で生み出したことは興味深い。近年、配偶子の形成や融合プロセスには、広範な生物種に共通の分子やメカニズムが存在することが明らかにされつつある。本シンポジウムでは、多様な生物種の有性生殖の分子機構をさまざまな角度から研究する、老若男女の研究者がそれぞれ異なる視点から話題を提供し合い、それらを「融合」することで、生命新生につながる配偶子融合に対する理解を深めたい。


シンポジウム企画募集

シンポジウムの企画募集は終了致しました。たくさんのご応募有難うございました。

多くの会員の皆様からのご提案をお待ちしております。特に、若手や女性研究者によるシンポジウムの企画、境界領域研究、先端的研究に関する企画を歓迎いたします。

企画される方は、シンポジウム企画内容書をダウンロードしてください。企画内容書に、オーガナイザー(責任者)の氏名と連絡先、シンポジウムの題名、予定演者(所属)および予定演題、企画の趣旨、使用言語、全体の所要時間(原則として2時間〜3時間)について、具体的な内容を記入の上、3月27日(金)までに大会実行委員会事務局(bsj2015@bio.sc.niigata-u.ac.jp)宛に電子メールでお申し込みください。電子メールの件名には「植物学会大会シンポジウム企画」と明記してください。

会期や会場の都合により、申し込まれたシンポジウムの日程を調整させていただくことがあります。また、会場数に限りがありますので、申し込みが多い場合は原則として早く申し込まれた企画を優先させていただきます。ただし、分野の重複などを実行委員会で勘案する場合がありますので、あらかじめご了承下さい。

採択、調整の結果は、4月中旬を目処にシンポジウム企画責任者に電子メールでお知らせします。4月中旬を過ぎても連絡がない場合は、大会実行委員会事務局へお問い合わせください。なお、シンポジウムオーガナイザーは会員に限りますが、演者は非会員でもかまいません。