日本植物学会第81回大会　平成29年9月8日（金）～10日（日）東京理科大学野田キャンパス（千葉県野田市）

 公益社団法人日本植物学会・第81回大会は、平成2９年9月８日から１０日まで、千葉県野田市の東京理科大学・野田キャンパスで開催されました。天候にも恵まれ、盛況のうちに無事に終了致しました。本大会にご参加頂いた皆様に心より御礼申し上げます。
 大会参加者（高校生発表会参加者および公開講演会参加者を除く）は、964名に達しました。また総演題数（高校生発表およびランチョンセミナーを除く）は、日本植物学会大会としては過去最高の613演題となりました。受賞講演は500名の会場が満員になり、懇親会にも350名以上の方々に御参加頂きました。また、高校生ポスター参加者が119名、さらに、公開講演会への参加者が350名を数え、全体で1500名近くの方々が本大会企画にご参加くださいました。東京理科大学の一つの講義棟を会場として開催したため、会場の移動が快適であったとお褒めの言葉を頂きました。また、企業展示、ポスター発表、ナショナルバイオリソース展示、高校生発表もバランスよく同じ会場に配置したため、出展者と参加者双方からご好評いただきました。
 今回、初めての試みとして、国立科学博物館、茨城県自然博物館、科学研究費新学術領域研究「植物細胞壁」、加茂水族館、農研機構、東京理科大学近代科学資料館、ナショナルバイオリソースプロジェクトをはじめとする多くの方々にお世話になり、公開展示を行いました。生きた植物を顕微鏡で観察したり、拡大模型や葉の細胞のパズルを楽しんだり、高校生や一般の方々と植物学会員が直接触れ合い議論する場が提供できて幸いでした。
 さらに、次世代の育成や、植物科学と社会との関係を考える、公開講演会「植物の生き方･人との共生」(科学研究費研究成果促進費補助事業)、高校生研究発表会等を企画しました。265名収容の会場が満席となり、別会場に同時中継しましたが、350名を超える方々が熱心に聴講されました。研究者の他、地元の自治体の首長など多彩な方々が講演され、植物科学と社会との関係を多角的に考える機会になりました。さらに東京理科大学・野田キャンパスは、キャンパス内に広大な理窓会記念自然公園を持ち、国土交通省や地元自治体と連携しながら、環境保全活動も進められています。そこで、公開講演会の最後には、高校生･大学生、一般の方々と学会員とが一体となって自然公園を散策しながら、植物や、植物と人との関わりについて議論する機会を設けました。100名以上の老若男女の方々が暗くなるまで自然の中で植物談義を繰り広げた様は、大変壮観でした。
 植物科学は、植物の理解を深めると共に、食糧･環境･エネルギー問題など、現代社会が直面しているさまざまな課題を解決し、私たちの社会を持続可能なものとするために、今後ますますの貢献が期待されています。21世紀に入りゲノム科学が急速に進展したのを契機として、植物科学にも分子レベルの視点が積極的に導入された一方で、植物学会では個体・生態系・地球規模という様々な階層での研究が展開されて来ました。学問の細分化が叫ばれて久しい中、日本植物学会は、分子･細胞レベルのミクロな現象から生態系のマクロな現象まで、生理、発生、形態、系統進化、生態等々、植物科学の広範な分野の研究者が、専門分野を超えた議論ができる学会として、新たな魅力が増して来ているように思います。本大会では多様な視点からの議論の場を提供することを心がけました。本大会が今後の植物科学の発展に少しでも寄与できれば、大変幸いです。
 本大会は、東関東地区でお引き受けして、東京理科大学を中心に、筑波大学、千葉大学、理化学研究所、農研機構などの東関東地区の会員が大会実行委員となり運営致しました。また、大会開催にあたっては、48の企業・団体から寄付および協賛並びに24名の個人の方から寄付を頂きました。本大会開催にご支援・ご協力を頂いた皆様に、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。