JPR和文要旨バックナンバー

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2006年03月号 (Vol.119 No.2)

シロイヌナズナの花茎における伸長成長とリグニン形成に対する過重力環境の影響

Effects of hypergravity conditions on elongation growth and lignin formation in the inflorescence stem of Arabidopsis thaliana.
玉置大介1, 唐原一郎1, Lukas Schreiber2, 若杉達也1, 山田恭司1, 神阪盛一郎1,(1富山大学,2University of Bonn, Germany)
 シロイヌナズナの花茎において,二次壁よりアセチルブロマイドで抽出されるリグニン含量は過重力刺激により有意に増加した.また,阻害剤を用いた実験から,過重力刺激によるリグニン形成の促進に機械刺激受容 Ca2+チャンネルが関与する可能性が示唆された.(p.79-84)

シロイヌナズナの根における成長基盤の数理モデルによる解析gazou

Insight into the basis of root growth in Arabidopsis thaliana provided by a simple mathematical model.
岩元明敏, 佐藤大輔, 古谷将彦, 丸山真一朗, 大場秀章, 杉山宗隆(東京大学)
 植物器官の成長を包括的,定量的に捉えるために,細胞数に比例する成長活動が細胞増殖,体積成長,器官維持に振り分けられるとする単純な数理モデルを考案した.このモデルの適用により,シロイヌナズナの根の成長における系統間差および倍数化の影響の基礎要因を特徴づけることができた.(p.85-93) 【2007年 JPR論文賞受賞】

Suaeda salsa(アカザ科)の液胞膜型Na+/H+アンチポーター遺伝子を発現させた形質転換イネの塩耐性の生理機構の解析

Analysis of the physiological mechanism of salt-tolerant transgenic rice carrying a vacuolar Na+/H+ antiporter gene from Suaeda salsa.
Fengyun Zhao1, 2, Zenglan Wang1, Quan Zhang1, Yanxiu Zhao1, Hui Zhang1 (1Shandong Normal University, 2Shandong Science and Engineering University, China)
 アカザ科マツナ属のSuaeda salsaの液胞膜型Na+/H+アンチポーター遺伝子をイネで発現させると塩耐性と乾燥耐性が増加するとともに,K+,Ca2+,Mg2+の含量増加や液胞膜ATPase活性の上昇が見られた.(p.94-104)

ミカヅキモ(Closterium peracerosum-strigosum-littorale)のミオシンXI遺伝子の単離と有性生殖における発現の解析

Isolation of myosin XI genes from the Closterium peracerosum-strigosum-littorale complex and analysis of their expression during sexual reproduction.
浜田朗子1, 2 , 関本弘之3, 田辺陽一1, 2, 土金勇樹1, 伊藤元己1 (1東京大学, 2千葉大学, 3日本女子大学)
 シャジクモ藻綱の基部に属すると考えられるミカヅキモのヘテロタリック(他家接合)株を材料に3種類のミオシンXI の塩基配列を決定した.このうち1種類は有性生殖条件下において発現が上昇することが確認された.さらにミカヅキモ栄養細胞での細胞分裂についても発現解析を行ったところ,細胞分裂に依存的な発現パターンが観察された.(p.105-113)

シロイヌナズナにおける糖による調節を受ける遺伝子群の同定と生体内での糖感受の証拠

Identification of sugar-modulated genes and evidence for in vivo sugar sensing in Arabidopsis.
Silvia Gonzali1, Elena Loreti2, Cinzia Solfanelli1, Giacomo Novi1, Amedeo Alpi1, Pierdomenico Peratax3 (1University of Pisa, 2Institute of Biology and Agricultural Biotechnology, 3SantAnna School of Advanced Studies, Italy)
 シロイヌナズナ黄化芽生えにスクロースを投与した時に発現が上昇または低下する遺伝子群をDNAマイクロアレー法により同定した.生体内のスクロース濃度が高い変異体であるpgm を用いた解析から,これらの遺伝子発現がin vivoにおいてもスクロース濃度による制御をうけることが明らかとなった.(p.115-123)

形態解剖および分子系統解析から推定されるフトゴケ(蘚綱,フトゴケ科)の栄養繁殖と遺伝的多様性

Vegetative reproduction and clonal diversity in Rhytidium rugosum (Rhytidiaceae, Bryopsida) inferred by morpho-anatomical and molecular analyses.
Tanja Pfeiffer, Sebastian Fritz, Michael Stech, Wolfgang Frey (Freie Universit?t Berlin, Germany)
 腋果をもつセン類であるフトゴケの栄養繁殖の仕組みと生育地間での遺伝的多様性を解析した.形態解剖学的手法により3種の栄養散布体を区別した.更にAFLPフィンガープリント解析から,有性生殖ではなく,栄養散布体による分布拡大がおきていることが明らかとなった.(p.125-135)

トレニア再生系においてアブシジン酸がアントシアニン合成に与える効果

Effect of ABA upon anthocyanin synthesis in regenerated torenia shoots.
柳楽洋三1,池上啓一2,小柴共一2,小関良宏11東京農工大学,2東京都立大学)
 トレニアの再生シュートにおいて,アブシジン酸(ABA)がアントシアニン合成およびクロロフィル分解を誘導する事,さらにアントシアニン合成と内生ABAレベルに正の相関がある事を示した.これらの結果から,ABAがアントシアニン合成およびクロロフィル分解の誘導において重要な役割を果たす事が示唆された.(p.137-144)

ウキクサ外植片の長日条件下での老化過程における光化学系IIの損傷および6-ベンジルアデニンによる損傷防止

Damage of PS II during senescence of Spirodela polyrrhiza explants under long-day conditions and its prevention by 6-benzyladenine.
Qingdai Liu, Yerong Zhu, Hanlin Tao, Ningning Wang, Yong Wang (Nankai University, China)
 ウキクサP143の葉状体を長日条件下で8日間培養すると, PS II機能係数が0%に,葉断面当たり反応中心活性が18%に低下した.6-ベンジルアデニンを添加した培地で培養すると,これらのパラメーターは増加したが,8日目に投与した場合には,増加は見られなかった.(p.145-152)

シロイヌナズナ根の伸長においてAtXTH18遺伝子は中心的な役割を担う: RNA干渉を用いた機能解析

A principal role for AtXTH18 in Arabidopsis thaliana root growth: a functional analysis using RNAi plants.
大里徳恵, 横山隆亮, 西谷和彦 (東北大学)
 エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素をコードするシロイヌナズナ遺伝子AtXTH17, 18, 19, 20のうち,AtXTH18が根の主根の伸長に必須の機能を担うこと,根伸長・分化域でのAtXTH19の発現がAXR2/IAA7を介してオーキシンによる制御を受けること, をそれぞれ明らかにした.(p.153-162)

Sinomanglietia glauca (モクレン科)の胚発生と種子形成

Embryogenesis and seed development in Sinomanglietia glauca (Magnoliaceae).
Dexing Xiao1, Zheng Yuan2 (1Zhongkai Agrotechnical College, 2Shanghai Jiao Tong University, China)
 モクレン科のS. glauca の花芽,特に胚珠,種皮の発生過程の形態を観察した.雌蕊群は多数の離生心皮からなり,胚珠は2珠皮をもち倒生である.タデ属型の胚発生を行い内乳は遊離核型である.種皮は外珠皮性.胚は正常に発達し,本種の繁殖不良は胚発生の異常によるものではないことが明らかとなった.(p.163-166)

Cytoskeletal organization during xylem cell differentiation.

木部細胞の分化過程における細胞骨格の構造変化
小田祥久, 馳澤盛一郎(東京大学)
 木部細胞は二次壁を沈着させ強固な細胞壁を構築する. 道管を構成する管状要素の分化過程においては, 細胞骨格の構造がダイナミックに変化し, 二次壁が規則的なパターンで構築される. 今回, これまでに得られてきた知見をまとめ, 細胞骨格が二次壁形成を制御するメカニズムを考察した. (p.167-177)

Organic substances in xylem sap delivered to above-ground organs by the roots.

根から地上部器官に送られる道管液有機物質
佐藤忍(筑波大学)
 カボチャ等の道管液には各種タンパク質をはじめ, 植物ホルモンやアミノ酸,糖質が含まれており,それらは主に根の根毛帯の中心柱の柔組織細胞で生産される.その一つの道管液レクチンの根における遺伝子発現は,概日時計と葉で作られるジベレリンによって遠距離制御を受ける.  (p.179-187)

Identification and characterization of Arabidopsis thaliana genes involved in xylem secondary cell walls.

シロイヌナズナの木部二次細胞壁に関わる遺伝子群の同定と解析
横山隆亮,西谷和彦(東北大学)
 水や無機塩類の輸送路を提供するとともに支持体としても機能する植物の木部組織における二次細胞壁の構築機構を解明するために,オリゴDNAマイクロアレイ法を用いて二次細胞壁構築に関与する遺伝子群を同定した.この中には,構造タンパク質の一種であるグリシンリッチタンパク質も含まれていた.  (p.189-194)

Reproductive success and distance to conspecific adults in the sparsely-distributed tree Kalopanax pictus.

まばらな分布をするハリギリ個体群における繁殖成功と個体間距離について
藤森直美1, 鮫島弘光2, 田中健太3, 市栄智明3, 柴田銃江4, 飯田滋生4, 中静透5 山梨県林務課, 2京都大学, 3北海道大学, 4森林総合研究所, 5総合地球環境学研究所)
 ハリギリの受粉は数百m程度の距離では個体間距離に依存しないこと,受精から種子の成熟期においてハリギリ褐斑病による死亡が多く,さらに同種成熟個体からの距離が近いほど罹病率が高いことを見出した.このことが,ハリギリのまばらな個体群維持を説明する可能性がある.  (p.195-203)

Diversity of secondary endosymbiont-derived actin-coding genes in  cryptomonads and their evolutionary implications.

クリプト藻類がコードする二次共生体由来アクチン遺伝子の多様性とその進化的意義
谷藤吾朗,恵良田眞由美,石田健一郎,小野寺直子,原慶明山形大学, 2地球・環境フォーラム, 3金沢大学)
クリプト藻類における二次共生体由来,および宿主由来アクチン遺伝子の存在様式を明らかにした.ゲノムサザン,PFGE法,得られたアクチン遺伝子配列に基づく系統樹から,二次共生体由来アクチン遺伝子は一度宿主核へ移動し,その後欠失したのではないかという推察を得た.  (p.205-215)

Identification and characterization of genes induced for anthocyanin synthesis and chlorophyll degradation in regenerated torenia shoots using suppression subtractive hybridization, cDNA microarrays, and RNAi techniques.

アントシアニン合成およびクロロフィル分解を誘導しているトレニア再生シュートで発現する遺伝子のサプレッション サブトラクティブ ハイブリダイゼーション法とcDNA アレイ法,RNAi 法を用いた解析
柳楽洋三1, 島村克好2,平井清香2, 島貫真美子2, 児玉浩明2,小関良宏11東京農工大学2千葉大学)
 アントシアニン合成およびクロロフィル分解を誘導しているトレニア再生シュートにおいて発現している遺伝子に対する cDNA を得て、その塩基配列の決定、cDNA アレイでの解析、その中から選抜した遺伝子に対する RNAi 法での解析から、それら遺伝子の機能を明らかにした. (p.217-230)

Seasonal changes in needle water content and needle ABA concentration of Japanese red pine, Pinus densiflora Sieb, in declining forests on Mt. Gokurakuji, Hiroshima Prefecture, Japan.

広島県極楽寺山のアカマツ衰退林における針葉含水率とアブシジン酸(ABA)濃度の季節変化
久米篤1, 半場祐子2, 中根周歩3, 櫻井直樹3, 佐久川弘31富山大学, 2京都工芸繊維大学, 3広島大学)
 NOx由来の大気汚染物質が,広島県極楽寺山のアカマツ衰退林の針葉の光合成や気孔開度の低下に及ぼす影響を評価するために,針葉の含水率,ABA濃度の季節変化を測定し,炭素同位体比を分析した.気孔開度の低下は,水不足や材線虫病感染以外の原因で生じていると考えられた.  (p.231-238)

Oxidative DNA damage in cucumber cotyledons irradiated with ultraviolet light.

紫外線を照射されたキュウリ子葉における酸化的DNA損傷の形成
渡邉かおり,山田尚寛,竹内裕一(北海道東海大学)
  キュウリ子葉において酸化的DNA損傷産物の一つである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG)量は照射した紫外線量に依存して増加した.紫外線照射された子葉では過酸化水素の蓄積が見られ,紫外線照射による活性酸素の生成と酸化的DNA損傷形成の関連性が示唆された  (p.239-246)

Identification and characterization of a novel heat shock transcription factor gene, GmHsfA1, in soybeans (Glycine max).

ダイズの新規熱ショック転写因子遺伝子の同定と解析
Baoge Zhu 1, Chunjiang Ye1, Huiying Lü1, Xiaojun Chen1,2, Guohua Chai 1,3, Jiannan Chen1, Chao Wang1 (1Chinese Academy of Sciences,Xinjiang Agricultural University,  3Northwest Sci-Tech University of Agriculture and Forestry, China)
  ダイズの熱ショック転写因子候補遺伝子GmHsfA1をESTより同定した.GmHsfA1は既知のいずれの熱ショック転写因子とも構造が大きく異なる.この遺伝子を植物体内で過剰発現させると高温ストレス下でGmHsp70が過剰に発現し,熱耐性が増した.  (p.247-256)

Morphological plasticity of Primula nutans to hummock-and-hollow microsites in an alpine wetland.

高山湿地の微凹凸ミクロサイトに生育する天山報春 (Primula nutans) の形態可塑性
沈海花1 2, 唐艶鴻, 鷲谷いづみ11東京大学,2国立環境研究所)
 青海・チベット高山湿地の微凹凸ミクロサイトと天山報春の形態可塑性について調べた.その結果,明るく暖かい微凸地に天山報春の個体密度が高いが,寒冷で暗い微凹地の個体は,葉柄や花茎が長く葉も大きく,光資源の獲得や種子の広範囲散布のための高い形態的可塑性を示した.  (p.257-264)

Distribution of chloroplast DNA haplotypes in the contact zone of Fagus crenata in the southwest of Kanto District, Japan. 

関東南西部におけるブナの葉緑体DNA系統接触域でのハプロタイプの分布
小橋寿美子,藤井紀行,野島彰洋, 堀信行(東京都立大学)
  関東南西部におけるブナの葉緑体DNAの系統境界地域でハプロタイプの分布を詳細に解析した結果, 異なる系統に属する2つのタイプが明瞭に地理的に分布しており,さらに2つのタイプが混在する集団を詳しく解析すると,両タイプの混在域は数キロの範囲におさまることがわかった.  (p.265-269)

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