JPR和文要旨バックナンバー

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2009年03月号 (Vol.122 No.2)

コメバツガザクラにおける均一な系統地理構造と更新世気候変動における独特な分布変遷の歴史

Ikeda H, Setoguchi H (2009) The homogenous genetic structure and inferred unique history of range shifts during the Pleistocene climatic oscillations of Arcterica nana (Maxim.) Makino (Ericaceae). J Plant Res 122:141-151

コメバツガザクラは、他の多くの高山植物と異なり日本列島全体で均 一な遺伝構造を持つことが知られている。 本研究では、AFLP法によるゲノムワイドな 遺伝構造の解析から、この特異性がさらに裏付けられ、コメバツガザクラ における更新世の特異な分布変遷が強く示唆された。(p.141-151)

葉緑体・ミトコンドリア・核のDNAマーカーにより見出された韓国Picea jezoensis集団の遺伝的変異

Moriguchi Y, Kang K-S, Lee K-Y, Lee S-W, Kim Y-Y (2009) Genetic variation of Picea jezoensis populations in South Korea revealed by chloroplast, mitochondrial and nuclear DNA markers. J Plant Res 122:153-160

葉緑体・ミトコンドリアのPCR-RFLPマーカーおよび核SSRマーカーを使用し、韓国に残存する4つのPicea jezoensis集団を解析した結果、韓国集団の遺伝的多様性は低く、北部の1集団が南部の3集団と遺伝的に異なることが示された。(p.153-160)

Pleurochaete squarrosaのクローン多様性と地理的構造(異なるサンプルスケールに基づくアプローチ)

Spagnuolo V, Terracciano S, Giordano S (2009) Clonal diversity and geographic structure in Pleurochaete squarrosa. J Plant Res 122: 161-170

地中海産のコケ植物Pleurochaete squarrosaの集団について、ISSRマーカーと色素体遺伝子配列trnLUAAを用いてクローン構造を調査したところ、無性繁殖にもかかわらず高い多様性を示した。地中海地域には2種類のtrnLハプロタイプが存在し、各遺伝的差異を示しながら地勢に強く影響を受けて分布している。 (p.161-170)

冷温帯落葉広葉樹林に生育する二種の林床草本における光利用と資源分配戦略

Ida T Y, Kudo G (2009) Comparison of light harvesting and resource allocation strategies between two rhizomatous herbaceous species inhabiting deciduous forests. J Plant Res 122:171-181

冷温帯落葉広葉樹林の林床に生育し、似通った開花フェノロジーを持つ多年生草本二種(コンロンソウとユキザサ)では、光合成、成長、炭素分配様式が異なっていた。両種の資源利用様式における差異は、展葉様式や根茎の貯蔵様式の違いを反映していることがわかった。(p.171-181)

サトイモ科Homalomena propinquaの花香における、甲虫の訪花と誘引成分の量変化との関連性

Kumano-Nomura Y, Yamaoka R (2009) Beetle visitations, and associations with quantitative variation of attractants in floral odors of Homalomena propinqua (Araceae). J Plant Res 122:183-192

サトイモ科の送粉系において、甲虫送粉者と花食者の訪花行動の違いを、花香中の誘引成分量との関係から調べた。結果、両者で誘引成分量に対する反応が違い、送粉者の訪花は花の送粉者誘引戦略と一致していたのに対し、花食者は誘引形質の一部を利用し訪花することが示唆された。 (p.183-192)

タイワンアカマツの揮発成分放出量に対する針葉の損傷効果

Su J-W, Zeng J-P, Qin X-W, Ge F (2009) Effect of needle damage on the release ra-te of Masson pine ( Pinus massoniana ) vo-latiles. J Plant Res 122:193-200

タイワンアカマツ針葉の損傷が揮発成分の放出量にどう影響するかを調査した。人工的損傷(MDP)、マツカレハ幼虫による食害の損傷(LFP)、損傷なし(UDP)に分け、時間ごとに揮発成分を採取分析、比較した。損傷割合と揮発成分の放出率には、LFPで相関関係が認められ、MDPには認められなかった。 (p.193-200)

シロイヌナズナ芽生えを用いた微細接木法の花成における長距離シグナル伝達の研究への適用gazou

Notaguchi M, Daimon Y, Abe M, Araki T (2009) Adaptation of a seedling micro-grafting technique to the study of long-distance signaling in flowering of Arabidopsis thaliana. J Plant Res 122:201-214

花成における長距離シグナル伝達の研究のために、シロイヌナズナの芽生えの微細接木法を改良し、施術後2〜3週間で選抜が可能で、高い成功率(10〜30%)が得られる方法を確立した。台木と接穂間の篩管の機能的連絡の確立時期を、蛍光色素や緑色蛍光蛋白質により確認した。 (p.201-214) 【2010年 JPR論文賞受賞】

白色花を賦与するアサガオのr変異の同定

Hoshino A, Park K-I, Iida S (2009) Identification of r mutations conferring white flowers in the Japanese morning glory (Ipomoea nil). J Plant Res 122:215-222

白色花を賦与するrは、アサガオの古典的な変異である。その分子遺伝学的な解析から、Tpn1類縁の異なる転移因子によるカルコン合成酵素遺伝子の2つの挿入変異の存在を明らかにし、Tpn1類縁因子がアサガオの主要な変異原であることを裏付けた。(p.215-222)

Alstroemeria aurea の花粉管伸長過程における核相の変化および male germ unit 形成のフローサイトメトリーを用いた細胞学的解析

Hirano T and Hoshino Y (2009) Detection of changes in the nuclear phase and evaluation of male germ units by flow cytometry during in vitro pollen tube growth in Alstroemeria aurea. J Plant Res 122:225-234

Alstroemeria aurea の花粉管伸長過程における雄性配偶子の細胞学的解析を試みた結果、精細胞形成を示す核相の変化に加え、更なる核相の変化を起こすことが明らかとなった。細胞単離技術を利用した解析により、精細胞形成後の核相の変化は male germ unit 形成と関連した変化であることが示された。(p.225-234)

シロイヌナズナの葉における乾燥に応答したアブシシン酸生合成の活性化

Ikegami K, Okamoto M, Seo Mitsunori, Koshiba T (2009) Activation of abscisic acid biosynthesis in the leaves of Arabidopsis thaliana in response to water deficit. J Plant Res 122:235-243

シロイヌナズナにおける乾燥受容とアブシシン酸(ABA)生合成部位および移動の制御を検討した。ABA量の測定、マーカー遺伝子の発現解析より、ABA生合成は乾燥刺激を受容した葉において急速に活性化されること、葉で合成されたABAの一部が根に移動することが示された。(p.235-243)

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