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第8回配信(2006年12月26日)「ドクダミ」

Dynamic Behaviors of Silent Plants
静なる草木たちの躍動

ドクダミ科 ドクダミ Houttuynia cordata Thunb. (Saururaceae)

 雨の日に,にじむかのように灯る白い花。
 梅雨どきの散策を楽しいものにしてくれる植物のひとつ,ドクダミ。雨でしっとりとした林床で,そこだけがほのかに明るい。その白さは,野生植物に珍しいほどに,黄ばみがなく純粋な白色だ。
とはいえ,その花を可憐と思うか,不気味と思うかは人による。なぜなら,踏みつけた瞬間に気づく「臭気」が,ドクダミの強烈な記憶となるからだ。しかし,「臭い」と言い捨ててしまうのは身勝手というもの。実際,臭気ある植物の薬効はよく知られるところで,また臭気ゆえに,癖のある食材としても利用される。
 中国雲南省の料理店では,ドクダミの地下茎のみによる山盛りサラダに出会える。生である。そのすさまじい臭気がテーブル中央でオーラのように放たれる。挑戦である。植物野外調査で疲労し,食欲が低下した我が身には薬となるに違いないと,息を止めて口にする。
頭のてっぺんに突き抜ける刺激は,比類無き味わい。確かに慣れは必要かも知れない。しかし小生,あまりの美味さに,滞在中,毎夕食時に注文。あきれた友人にはドクダミ中毒と診断される始末。薬草に病み付きとは如何なものか・・・。
 純白の4枚は,実は花弁ではなく,花序を包んでいた苞(総苞)である。その上で群れる小さな花には,先が3分岐した雌しべと,3本の雄しべ。だが,花弁はない。その純白の苞がない季節には,鼻で見つける植物である。

撮影地: 岐阜県山県市
撮影期間: 2006年3月~6月
撮影・編集条件: 野外連続撮影

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