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2015年度JPR論文賞講評

2015年6月 9日

2015年度JPR論文賞講評

 Journal of Plant Research (JPR) 編集委員会は、厳正な審議の結果、このほど次の2本の論文を、2015年のBest Paper賞の受賞論文として決定いたしました。

Masakazu Tomiyama, Shin-ichiro Inoue, Tomo Tsuzuki, Midori Soda, Sayuri Morimoto, Yukiko Okigaki, Takaya Ohishi, Nobuyoshi Mochizuki, Koji Takahashi, Toshinori Kinoshita (2014) Mg-chelatase I subunit 1 and Mg-protoporphyrin IX methyltransferase affect the stomatal aperture in Arabidopsis thaliana J. Plant Res. 127:553-563 

Suzana Pampurova, Katrien Verschooten, Nelson Avonce, Patrick Van Dijck (2014) Functional screening of a cDNA library from the desiccation-tolerant plant Selaginella lepidophylla in yeast mutants identifies trehalose biosynthesis genes of plant and microbial origin. J. Plant Res. 127:803-813

 Best Paper賞は、2014年発行のJPR誌に掲載された原著論文から、Editorial boardメンバーによる2回の投票、そしてその結果に基づくEditorによる編集委員会での審議の結果、選ばれました。今年は、いずれも、植物生理学分野の論文となりました。Tomiyama et al. (2014)では、気孔閉鎖に異常を示すシロイヌナズナ変異体lost1を新たに単離し、lost1が部分的なアブシジン酸非感受性を示すことを明らかにしています。さらに、変異の原因遺伝子がクロロフィル合成にかかわるMg-キラターゼのサブユニットであり、同じくクロロフィル合成にかかわるMg-プロトポルフィリンIXメチルトランスフェラーゼの変異もlost1と同様にアブシジン酸非感受性を示すことを見いだしています。以上の結果は、クロロフィル合成がアブシジン酸に応答した気孔閉鎖に影響することを明らかにした初めての論文です。一方、Pampurova et al. (2014)は、植物のトレハロース合成と乾燥耐性に関する論文です。トレハロースは、微生物で乾燥耐性に関わることが知れていますが、通常の植物にはほとんど含まれません。しかし、本種イワヒバは極度の乾燥状態からも復活することができ、また、水分状態にかかわらずトレハロースを高濃度に蓄積することが知られています。本論文では、トレハロースを合成できない酵母変異体を用いてイワヒバのcDNAライブラリーを機能的にスクリーニングした結果、微生物由来のトレハロース合成酵素遺伝子が多数同定され、高濃度のトレハロース蓄積がエンドファイト由来である可能性をが示唆しています。

 加えて編集委員会では、ISI Web of Knowledgeの論文被引用データに基づき、2012年にJPR誌に掲載された論文から、最も引用回数の高かった論文として、Most-Cited Paper 賞を次の論文に授与することに決定いたしました。

Masayuki Muramatsu, Yukako, Hihara (2012) Acclimation to high-light conditions in cyanobacteria: from gene expression to physiological responses. J. Plant Res. 125: 11-39

 この論文は、2012年に発表された論文のなかで被引用回数24回(内、グループ外からの引用23回)を記録しています。実験室で培養しているシアノバクテリアは、強光ストレスを突然受けることはありませんが、自然界では光環境が急変することはありうると考えられます。村松、日原博士は、シアノバクテリアの強光ストレスに応答した光合成関連遺伝子の発現制御に関して研究を続けてきましたが、本総説では、シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803に強光照射した際の遺伝子発現変動について、DNAマイクロアレイ解析に関するグループ間の研究成果を比較するとともに、強光下で観察される順化応答現象についてもに最新の知見を概説しています。責任著者の日原博士は、2009 年に日本植物学会奨励賞を受賞していますが、本論文は、その受賞をうけた招待論文であり、日原博士には重ねての受賞となりました。

 JPR誌は以上の3論文のような質の高い論文を掲載できたことを誇りに思います。ここに、受賞された方々にお祝いを申し上げるとともに、会員の皆様にご報告申し上げます。

JPR編集委員長 西田 生郎


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