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2009年度JPR論文賞

[お知らせ]  2009年6月28日

 2009年度のJPR 論文賞について謹んでご報告申し上げます。
 JPR Best Paper Award は、JPR 論文賞選考規定に基づき、JPR 121巻(2008)掲載の原著論文を対象とし、 編集委員並びに編集協力委員全員による投票と、投票結果を基にした編集委員会での合議により選考を進めました。その厳正なる審議の結果、次の2論文をBest Paper Award2008受賞論文に決定しました。

BEST PAPER賞
(1) Shuichiro Tagane, Michikazu Hiramatsu and Hiroshi Okubo (2008) "Hybridization and asymmetric introgression between Rhododendron eriocarpum and R. indicum on Yakushima Island, southwest Japan" JPR 121(4): page 387-395. (http://www.springerlink.com/content/4x6001l1567772w1/)

(2) Yutaka Kodama, Hidenori Tsuboi, Takatoshi Kagawa and Masamitsu Wada (2008) "Low temperature-induced chloroplast relocation mediated by a blue light receptor, phototropin 2, in fern gametophytes" JPR 121(4): page 441-448. (http://www.springerlink.com/content/x156t537656611r0/)

 Tagane et al. (2008)は、屋久島におけるサツキとマルバサツキとの交雑についての研究で、2種間の雑種形成時における非対称性現象を発見したものです。その上で遺伝学的、形態学的、訪花昆虫や生育環境などの生態学的側面といった多岐にわたる解析を行い、交雑およびその後の選択圧についての議論を行ったことが評価されました。
 またKodama et al. (2008)は、葉緑体定位運動が低温によっても誘導されることをホウライシダ配偶体を用いて明らかにし、その反応に青色光受容体フォトトロピン2が関与することを示したものです。この結果は、低温に対する反応が、強光に対する反応と分子機構を共有していることを示すもので、シダの環境応答機構の進化を考える上で興味深い重要な知見ですし、思いがけない連関を示すことで、この研究領域に刺激を与えるものとなっています。
 
 一方、JPR Most-Cited Paper Award は、JPR 論文賞内規に基づき、2006年刊行のJPR 119巻掲載の論文より、 ISI Web of Science のデータベースを参考にして、著者ら以外のグループによる引用回数を指標に選考を進めました.その結果、編集委員会で以下の論文を対象論文と決定いたしました。

Most cited paper賞
Chunlan L. Lian, Md. Abdul Wadud, Qifang Geng, Kenichiro Shimatani and Taizo Hogetsu (2006) "An improved technique for isolating codominant compound microsatellite markers" JPR 119: 415-417. (http://www.springerlink.com/content/d4565155h8vng117/)

 近年、進化や生物多様性研究において、遺伝子の動きをDNAマーカーを用いて直接追跡する研究が可能になり、DNAマーカーとしてSSRが多用されています。本論文は、2008年末までの総引用数が23を数え、さらに現在も引用件数が増えている論文です。本研究はSSR用プライマーの開発方法を改良してより短時間で作成可能にすることにより、この分野の研究発展に大きく寄与したことが高く評価されており、その実用性の高さからも、今後も注目されることが期待されます。

 以上の3論文は、植物科学の一般誌としてのJPRにふさわしい論文であると思います。これら3本の論文について、今年の山形大会において表彰をいたしますので、どうぞ皆様、ご参集下さいますよう、お願いいたします。
 なお各論文の講評に関しましては、これら論文を担当された伊藤元己前編集委員、西谷和彦前編集委員長のご協力を得ました。


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