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第7回日本植物学会賞受賞者

[お知らせ]  2010年5月28日

  第7回日本植物学会賞の各賞の受賞者が以下の通り決まりました。なお、授賞式と受賞講演は、日本植物学会第74 回大会(中部大学、平成22年9月9日〜11日)で行われる予定です。

<大賞>
田澤 仁(東京大学 名誉教授)
「シャジクモと同行60年」

<学術賞>
田坂昌生(奈良先端科学技術大学院大学 教授)
「植物の体づくりにおける堅固性と可塑性」

<奨励賞>
小竹敬久(埼玉大学 准教授)
「植物特有の糖ヌクレオチド代謝経路の解明」

宮沢 豊(東北大学 助教)
「根の水分屈性制御分子の同定とその水分屈性ならびに屈性間相互作用に対する機能の研究」

本瀬宏康(岡山大学 助教)
「植物の形態形成における細胞間相互作用と細胞極性制御の解析」
 
<若手奨励賞>
仲田崇志(慶應義塾大学 助教)
「単細胞性オオヒゲマワリ目(緑藻植物門緑藻綱)の多層的分類研究」

成川 礼(東京大学 助教)
「シアノバクテリアにおける新規シグナルセンサー、特に光センサーの網羅的探索とその機能 —構造解析」

濱田隆宏(奈良先端科学技術大学院大学 GCOE研究員)
「生化学を基盤とした微小管付随タンパク質群の同定と機能解析」

丸山真一朗(日本学術振興会 特別研究員)
「下等植物および原生生物におけるゲノム進化と葉緑体の起源」

<特別賞>
技術 中川 強(島根大学総合科学研究支援センター 教授)
「植物遺伝子研究におけるGatewayバイナリベクターシステムの構築と普及」

教育 ヒコビア植物観察会
「植物を友とし、師とし、みんなで重ねた半世紀にわたる野外観察会」

(社)日本植物学会 学会賞選考委員長 
戸部 博


=第7回日本植物学会賞(2010年度)の選考結果報告=
 日本植物学会は、大賞、学術賞、奨励賞、若手奨励賞、特別賞を制定し、植物学の研究業績と植物学への貢献に対して表彰を行っています。また、自薦や他薦、評議員推薦により、才能ある若手研究者を発掘し、積極的に授賞候補者を推薦することができる体制がとられています。本年度の日本植物学会賞選考委員会は、4月24日(土)東京大学にて選考委員会を開催し第7回日本植物学会賞受賞者を決定いたしました。本年度も例年同様多数の推薦、応募がありました。今後も数多くの方の推薦、応募を期待いたします。

<大賞>
 評議員による推薦を受けた6名を対象として、研究業績、後進の育成、植物学会への貢献ならびに植物科学全般への貢献等を審議し、田澤 仁氏に、大賞を授与することを決定しました。

田澤 仁(東京大学 名誉教授)
「シャジクモと同行60年」
田澤 仁氏は、特にシャジクモを用いた研究により、以下のような多くの研究業績を挙げられました。1)細胞横断浸透を利用し、水移動の整流性、液胞膜の高い水透過性などを世界で初めて明らかにされたほか、アクアポリンの存在も明らかにされました。2)電位発生がMg-ATPに依存することを証明すると共に、電気生理学的に測定された電流がATP依存性のプロトン輸送量と一致することも明らかにされました。3)液胞内酸性化のカイネティクス、液胞膜の電気特性などを詳細に解析され、さらに、V-ATPaseとPPaseの生化学的な解析も行いました。4)細胞内浸透圧調節の機構、さらに膨圧調節における細胞内浸透圧調節の機構を解明するとともに、セカンドメッセンジャーとしてのカルシウムの役割を明らかにされました。5)細胞膜にある電位依存性のカルシウムチャンネルとカルシウムの結合によって活性化されるクロライドチャンネルの両方が活動電位の発生に関与していることを明らかにされました。6)カルシウム依存性のタンパク質リン酸化が原形質流動の停止に関与していることも明らかにされました。以上のような研究活動によって、1990年には第80回日本学士院賞を受賞され、1985年には米国植物生理学会(現植物生物学会)のCorresponding memberに、平成1989年にはドイツ植物学会の名誉会員に選ばれました。また、田澤氏は1981-1982年の間、日本植物学会学会誌の編集委員長をつとめて本学会の運営に貢献されると共に、植物膜談話会の設立、山田コンファレンス「Plant Water Relations and Growth under Stress」の主催などにより、日本における植物膜生理学の発展に大きな貢献をされました。このような長年にわたる植物学への貢献と、多岐にわたる研究業績に鑑み、田澤氏が日本植物学会賞の最高賞である大賞にふさわしいと判断いたしました。
(戸部 博委員 記)

<学術賞>
 評議員により推薦を受けた5名を対象とし、研究業績のプライオリティー、独創性、国際的評価、ならびに植物科学の発展への貢献について検討した結果、田坂昌生氏に学術賞を授与することを決定しました。

田坂昌生(奈良先端科学技術大学院大学 教授)
「植物の体づくりにおける堅固性と可塑性」
 田坂昌生氏は、植物の体づくりのメカニズムに関する独創的な研究を主に分子遺伝学的手法を用いて展開し、世界をリードする顕著な業績をあげています。初期には細胞性粘菌を使用していましたが、約20年前からはシロイヌナズナを主な研究材料とし、ゲノム情報と変異体を駆使してその体づくりの分子基盤を明らかにしてきました。植物体を構成するほとんどの器官は頂端分裂組織によって形成されます。田坂氏は、頂端分裂組織の形成や活性の調節と維持に働く遺伝子を同定するとともに、胚発生過程を調節するオーキシンの極性輸送の新規制御因子を明らかにしました。また、形づくりに強く影響する環境要因の中から重力に着目し、重力屈性の分子機構に関する多くの新規知見を見出しました。田坂氏の独創的な発想と明確な戦略・展望に基づく研究の進め方は、この領域における研究の世界的なモデルとなっており、その貢献は極めて大きいといえます。日本植物学会学術賞に正にふさわしい研究として高く評価されます。
(保尊隆享委員 記)

<奨励賞>
 評議員推薦と自薦とを合わせて11名の選考対象者がおりました。審査は、応募者のそれぞれの申請書と別刷りを選考委員全員に配布し、応募者の評点(5段階)と研究に関するコメント(評価表)を書いてもらいました。選考委員会において、各委員が付けた評点から平均値を算出し、総合推薦順位表を作成し、各候補者の研究内容を中心に植物学会大会での発表など学会への貢献度を調査しながら議論しました。結果として、総合的評価の高かった小竹敬久、宮沢 豊、本瀬宏泰(五十音順)の3氏への奨励賞授与を決定しました。

小竹敬久(埼玉大学 准教授)
「植物特有の糖ヌクレオチド代謝経路の解明」
 糖ヌクレオチドは、植物体の主要な構成成分である多糖の基質であり、その合成経路は植物にとって非常に重要です。しかし、糖ヌクレオチド合成に関わる酵素類の精製は難しく、理解が進んでいませんでした。小竹敬久氏は、生化学及び分子遺伝学的手法を巧みに組み合わせたレベルの高い研究を展開し、糖ヌクレオチドの新生経路とサルベージ経路に関する数々の新規知見を見出しました。特に、研究の過程で精製した3種の新規酵素、UDP-糖ピロホスホリラーゼ、L-フコキナーゼ/GDP-L-フコースピロホスホリラーゼ、並びにUDP-グルコース4-エピメラーゼは、広い基質特異性、多機能性、ユニークな細胞内局在性など、従来の常識を覆す諸性質を示すことを明らかにしました。小竹氏の研究は、糖ヌクレオチドの合成経路について新たな視点と展開をもたらすものとして国際的に高く評価されています。今後、糖ヌクレオチド代謝過程の全容の理解や植物進化との関係の解明へと研究が発展することが期待されます。
(保尊隆享委員 記)

宮沢 豊(東北大学 助教)
「根の水分屈性制御分子の同定とその水分屈性ならびに屈性間相互作用に対する機能の研究」
 陸上植物にとって水の獲得は極めて重要な過程であり、植物はそのため、水分勾配を認識して水分が多い方向へ根を成長させる水分屈性のしくみを発達させてきました。しかし、重力屈性の存在のため、水分屈性のメカニズムは明らかになっていませんでした。宮沢豊氏は、重力屈性の干渉を取り除く実験系の確立、レーザー照射及び重イオンマイクロビーム照射法の導入、並びに水分屈性に関わる突然変異体の単離と解析を通して、この課題に関する革新的な研究を進めてきました。その結果、水分屈性の機構には、カルシウムイオン動態制御の重要性、根冠コルメラ細胞の関与、成長部域におけるオーキシン応答の必要性など、重力屈性と共通する点があるが、水分屈性にはオーキシン極性輸送が必須でない等、特徴的な差異も見られること、また水分屈性に特異的に関与する遺伝子群が存在することなど多くの新事実を明らかにしました。このような宮澤氏の研究は国際的に高く評価されており、屈性と形態形成の制御機構に関するさらなる発展が期待されます。
(保尊隆享委員 記)
  

本瀬宏康(岡山大学 助教)
「植物の形態形成における細胞間相互作用と細胞極性制御の解析」
 本瀬宏康氏は、細胞の成長・分化や細胞間相互作用による植物の形態形成機構の解明に独自の観点から取り組み、ヒャクニチソウ木部分化の培養系を改良して、局所的な細胞間相互作用やその作用因子活性を評価するバイオアッセイ系を構築し、この系を活用してザイロジェンと名付けたアラビノガラクタンタンパク質を同定して詳細な解析を行い、分化しつつある細胞から未分化細胞に向けて本因子が分泌されることで導管細胞の連続的な分化が導かれることを発見した。この発見は、最近相次いで報告されている植物の発生・分化を制御するペプチド性シグナル分子の発見の端緒となったもので、世界的にも極めて高く評価されている。さらに、シロイヌナズナの表皮細胞に異所的に突起が形成される変異体を解析して、細胞伸長制御に関わるNEKキナーゼファミリー因子を同定し、本因子が他の因子と協調的に働くことで微小管の制御を介して細胞の伸長方向を調節することを明らかにしており、細胞の伸長方向制御に新たな視点を示したことは高く評価される。現在は、このような研究をさらに発展させ、GPI型アンカータンパク質やRNAサイレンシングを介した形態形成機構の解明等にも積極的に取り組んでおり、今後の発展が大いに期待される。
(鎌田 博委員 記)

<若手奨励賞>
 若手奨励賞には評議員推薦と自薦を合わせて7名の選考対象者がおりました。候補者の評価は奨励賞と同様の方法で行いました。この賞は、大学院生やポスドクなど、意欲にあふれた若手の研究者の表彰が目的です。最近の大会で積極的に発表していることも重要な条件になります。その結果、仲田崇志、成川 礼、濱田隆宏、丸山真一朗(五十音順)の4氏への若手奨励賞授与を決定しました。

仲田崇志(慶應義塾大学 助教)
「単細胞性オオヒゲマワリ目(緑藻植物門緑藻綱)の多層的分類研究」
 仲田崇志氏の主な業績は、オオヒゲマワリ目の分割から種分類に至る分類体系を全面的に見直すため、分類群の階級に応じた段階的な方法論を提示し、実際に分類体系を再構築してみせたことにある。オオヒゲマワリ目の分類は、各階層で混乱しており、総合的な再評価が不可欠であった。本研究では、分類階級や分類群ごとに異なる問題点にそれぞれ適切な手法で取り組み、幅広い成果を挙げることができた。このような多層的な研究は、オオヒゲマワリ目の分類学的研究の停滞を打ち破るものとして大きな意味をもつだろう。申請者は、形態にもとづく分類体系を留保しつつも、分子系統を用いてオオヒゲマワリ目が約20の系統群に整理できることを示している。微細藻類の「種」は、伝統的に、形態で識別できる個体群(形態種)として分類されてきたが、形態種の変異の範囲、系統的な近縁性、生殖隔離の有無などは十分検証されていない。申請者は、Hafniomonas属、ヤリミドリ属、コナミドリムシ属において、複数株が得られた形態種で単系統性を確認し、既存の形態種が交雑の可否や分子系統の種概念とお互いに矛盾しないことを示している。属階級の分類が滞るのは、光顕観察に基づく形態形質が不足しているせいでもある。申請者は、ヤリミドリ属の再分類に、電顕による微細構造観察で識別形質を増やし、より自然な属階級の分類が可能であることを示した。
(河野重行委員 記)


成川 礼(東京大学 助教)
「シアノバクテリアにおける新規シグナルセンサー、特に光センサーの網羅的探索とその機能 —構造解析」
 成川 礼氏は、まず、シアノバクテリアに特異的なドメインを同定するなどのバイオインフォマティクス分野の研究を行いました。最近は、シアノバクテリアのPASドメインや、色素結合GAFドメインの機能の解析を、生理学、生化学、生物物理学、構造生物学の領域にまで深く踏み込んで総合的に行っています。成川氏の研究の特徴は、バイオインフォマティクスを駆使したドメインの分類や、進化過程推定によって、研究対象を効率的に絞り込むことにあります。このため、研究は、決して漫然たる網羅的解析にとどまることがありません。PASドメインからは、重要なフラビン結合青色光センサー、レドックスセンサーなどがいくつも見いだされましたし、GAFドメインの解析からは、可逆的光変換を示す光受容体が複数同定されました。環境変動が激しい淡水産/陸生シアノバクテリアの多様な環境応答を、多様な光受容体が制御していることが、浮き彫りにされつつあります。高等植物の光生物学との比較の面でも興味深い知見です。一方で、これらのタンパクの色素受容部位の結晶化が成功し、構造生物学的な解析も進んでいます。このように、成川氏は、生態学から構造生物までを広く見据えています。業績にもそれが十分に現れており、次代を担う若手研究者であると評価できます。
(寺島一郎委員 記)

濱田隆宏(奈良先端科学技術大学院大学 GCOE研究員)
「生化学を基盤とした微小管付随タンパク質群の同定と機能解析」
 濱田隆宏氏は生化学的手法を主とした顕花植物の微小管付随タンパク質群に関する研究を行ってきました。タバコ培養細胞BY-2からは3種類の微小管付随タンパク質(MAP200、 NtDRP3、 THO2)の単離に成功し、それぞれのタンパク質の機能解析を行いました。さらにシロイヌナズナ培養細胞からも微小管付随タンパク質群の精製に成功し、質量分析計を用いて微小管付随タンパク質群画分の網羅的同定を行いました。この研究成果は今後の微小管研究の重要な礎になると期待され、濱田氏自身もこの成果から新規の植物特有の微小管付随タンパク質の同定に成功しております。また近年、イメージング技術を用いてオルガネラやRNAの輸送における微小管の役割に関する研究を行い、新しい微小管の役割を示しております。現在、微小管機能解析のための新たな実験系の開発に取り組んでおり、今後の研究の発展が大いに期待されることから、若手奨励賞授賞者として相応しいと高い評価を受けました。
(戸部 博委員 記)

丸山真一朗 (日本学術振興会 特別研究員)
「下等植物および原生生物におけるゲノム進化と葉緑体の起源」
 葉緑体をもった一次共生植物がいつ頃、どのように出現したかということは、今もなお未解明の謎です。様々な生物のゲノム情報が急速に蓄積している現在、この問題についても、新たな視点からの解析やアプローチが求められています。丸山真一朗氏は、自作したスパコン用のゲノム解析プログラムを駆使して、これまで一次共生とは無縁と考えられていた原生生物のゲノムの中に、シアノバクテリア由来の遺伝子群が広く分布していることを明らかにしました。真核生物には8つの系統群があると考えられていますが、丸山氏の研究結果は、このうち、動物や菌類に進化したオピストコントを除く他の系統群の中で、シアノバクテリア由来の「植物遺伝子」が、かつて、広くやり取りされていたことを示しています。これらの成果は、真核生物や葉緑体の初期進化がどのようなものであったかを解明する上で、新たな視点を提供するものであり、今後の研究の発展が大いに期待されます。
(小保方潤一委員 記)

<特別賞>
 特別賞は植物科学や植物学会の発展に貢献のあった個人や団体を、分野や年齢を問わず選考して顕彰し、さまざまな面から植物科学の活性化をはかろうと創設されたものです。今年度は「技術」「教育」「その他」の分野で、評議員から9件の個人や団体の推薦がありました。各候補について2段階評価を行い、その集計結果をもとに選考委員会では評点の最も高かった候補者を中心に選考を行いました。その結果、中川 強氏とヒコビア植物観察会を授賞者と決定しました。

技術 中川 強(島根大学総合科学研究支援センター 教授)
「植物遺伝子研究におけるGatewayバイナリベクターシステムの構築と普及」
 中川 強氏は、今や植物遺伝子研究において必要不可欠な基礎技術の一つとなった遺伝子導入の際に使用するベクターを、簡便かつ迅速に構築可能な172種類からなるGatewayバイナリーベクターシリーズとして開発されました。すなわち、様々なレポーター・タグ融合が可能な初期型のGatewayバイナリーベクター40種類を皮切りに、コピー数と選抜マーカーを増やした改良型を86種類、さらに別の特異配列も利用することで、プロモータースワッピングが可能になったR4型を32種類、プロモーター:レポーターを極めて容易に構築可能なR4L1型を14種類、合計172種類のベクターを開発されました。このシリーズが利用できるようになったことにより、一度目的の遺伝子を準備すれば、制限酵素とリガーゼを使うことなく、組換え酵素のみで目的のバイナリーベクターを容易に構築できるようになりました。それらは基礎研究での使用を条件として、国内約230、国外約400の研究室に無償で提供され広く利用されています。関連する論文の被引用数は、平成22年3月の時点で100編を超えており、今後ますます増加していくと思われます。中川氏は、これまでのベクター作成にとどまらず、さらに多機能なベクターの開発にも意欲を示されています。このような中川氏の植物科学への発展に対する大いなる貢献は、植物学会の特別賞として相応しいものと高く評価されました。
(戸部 博委員 記)

教育 ヒコビア植物観察会
 「植物を友とし、師とし、みんなで重ねた半世紀にわたる野外観察会」
 ヒコビア植物観察会は、植物学の啓蒙を目的として1956(昭和31)年10月に広島植物学研究会と広島県内の一般植物愛好家との共同事業「広島植物採集会」、まさに「生涯学習」(1965年にはじめて提唱)の実践活動として始まりました。1977年6月以降の33年間はほぼ月1回、定期的に野外観察会を行い、2010年半ばまでに通算開催回数500回を数えることになりました。歴代世話役は日本植物学会会員でもある広島大学教員・学生・OBが中心となり、更に藻類、コケ植物、維管束植物、菌類など多彩な植物分類学分野や植物社会学分野の専門家も参加してきました。この活動を通して、植物学はじめ薬学、天然物化学に関わる教育・研究機関関係者だけでなく、現在広島県内を活動拠点とする植物野外観察会の指導者的立場で活躍しているアマチュア植物愛好家が多数育成されました。また、広島県下の植物相に関する情報を集大成した「広島県植物誌」や啓蒙を目的とした「宮島の植物と自然」などに代表される出版物ならびに広島大学デジタル自然史博物館のコンテンツを含む多くの基礎資料をもたらしてきました。以上のように、半世紀以上にわたって植物研究の人材の育成ならびに地方における植物学の啓蒙活動に顕著な貢献をなしてきたことは、植物学会の特別賞としてふさわしいものと高く評価されました。
(戸部 博委員 記)


2010年度 日本植物学会賞選考委員会
戸部 博(委員長)、井上康則、大隅良典、
小保方潤一、鎌田 博、河野重行、寺島一郎、
保尊隆享、町田千代子、本村泰三

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