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2010 年度JPR 論文賞の講評

[お知らせ]  2010年6月17日

=2010 年度JPR 論文賞=
 2010年度のJPR 論文賞について謹んでご報告申し上げます。
 JPR Best Paper Award は、JPR 論文賞選考規定に基づき、JPR 122 巻(2009)掲載の論文を対象として、編集委員並びに編集協力委員全員による投票と、投票結果を基にした編集委員会での合議により選考を進めました。その厳正なる審議の結果、次の2 論文をBest Paper Award 2010 受賞論文に決定しました。

[JPR BEST PAPER 賞]
Journal of Plant Research Vol. 122 (2009): 201-
Author(s): Michitaka Notaguchi, Yasufumi Daimon, Mitsutomo Abe and
Takashi Araki (野田口 理孝、大門 靖史、阿部 光知、荒木 崇の各氏)
Title: Adaptation of a seedling micro-grafting technique to the study of long-distance signaling in flowering of Arabidopsis thaliana.

Journal of Plant Research Vol. 122 (2009): 41-
Author(s): Kosei Sone, Alata Antonio Suzuki, Shin-Ichi
Miyazawa, Ko Noguchi and Ichiro Terashima (曽根 恒星、Alata Antonio Suzuki、宮澤真一、野口航、寺島 一郎の各氏)
Title: Maintenance mechanisms of the pipe model relationship and Leonardo da Vinci’s rule in the branching architecture of Acer rufinerve trees.

 Notaguchi et al. (2009)は、シロイヌナズナの花成ホルモンの同定とその機能解析に、微小サイズでの接ぎ木技術を応用してみせた研究です。日本人研究者のもたらしたブレイクスルーにより、数年前、ついにフロリゲンの正体が明らかになったことは、記憶に新しいところです。そのフロリゲンが、mRNAとして長距離移動するのか、翻訳産物のタンパク質として移動するのかについては、誤った論文が一流誌にフライイング気味に掲載されるなど、この世界を覆いに賑わした論点でした。その決着に際し、シロイヌナズナのようなごく小型の植物の、しかも芽生えで接ぎ木法を確立したことは、大いなる貢献といえます。またこの手法は、今後、他の研究分野にとっても重要な貢献をなすものと期待されます。
 またSone et al. (2009)は、ウリハダカエデを用いて、樹形に関する経験則の維持機構を解析したものです。日本は古くから園芸が盛んで、西洋に見られるような単純刈り込みとは違う、思い通りの「自然な」枝振りに仕立てあげる剪定技術が発達しています。その背景には、枝ごとの生産の資源分配に関するパイプモデルなどの基本的仕組みが働いていると考えられます。本研究は、そうした生理生態学的な立場から、樹冠内の生産と成長のバランスについて解析したもので、今後の発展も大いに期待されます。

 一方、JPR Most-Cited Paper Award は、JPR 論文賞内規に基づき、2007 年刊行のJPR 120巻掲載のものより、ISI Web of Science のデータベースを参考にして、被引用回数を指標に選考を進めました.その結果、編集委員会で以下の総説を対象に決定いたしました.
[JPR Most cited paper 賞]
・JPR Most-cited paper賞 (26回引用)
Journal of Plant Research Vol. 120 (2007): 345-350
Author(s): Tomonobu Kusano, Koji Yamaguchi, Thomas Berberich and Yoshihiro Takahashi (草野 友延、山口 公志、Thomas Berberich、高橋 芳弘の各氏)
Title: Advances in polyamine research in 2007.
 近年、植物の成長制御に関して、これまで見過ごされてきた分子種が次々と見直されてきています。ペプチドしかり、新規ホルモンしかり。本総説は、その中で、ポリアミンに焦点を当てたものです。その重要性は、ポリアミンの生合成経路の変異体が示す多くの表現型が示すとおりですが、逆にそのことは、遺伝学的解析が始まるまでは、ほとんど認識されてきませんでした。驚きを持って迎えられているそのポリアミン研究の最前線を見事にまとめた本総説は、非常に多くの回数、引用されており、JPRと日本の植物学を広く世界に示してくれました。

 以上の3論文は、植物科学の一般誌として広く各分野をカバーするJPR にふさわしく、それぞれの研究分野を代表するものであると思います。今年の中部大会においてこの3本の表彰をいたしますので、どうぞ会員の皆様はご参集下さいますよう、お願いをいたします。

JPR 編集委員長
塚谷 裕一

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