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2011年度JPR論文賞講評

[お知らせ]  2011年5月26日

2011年度JPR論文賞

 Journal of Plant Research (JPR)編集委員会は、厳正な審議の結果、このほど次の2本の論文を、2011年のBest Paper賞の受賞論文として決定いたしました。

・Hiroyuki Muraoka, Nobuko Saigusa, Kenlo N. Nasahara, Hibiki Noda , Jun Yoshino, Taku M. Saitoh, Shin Nagai, Shohei Murayama and Hiroshi Koizumi (2010) Effects of seasonal and interannual variations in leaf photosynthesis and canopy leaf area index on gross primary production of a cool-temperate deciduous broadleaf forest in Takayama, Japan. J Plant Res 123(4): 563-576

・Hidenori Tsuboi and Masamitsu Wada (2010) Speed of signal transfer in the chloroplast accumulation response J Plant Res 123 (3): 381-390.

 上の2本は、昨年発行のJPR誌に掲載された原著論文から、editorial boardメンバーからの2回の投票、そしてその結果に基づく編集委員会での審議の結果、選ばれました。総合誌としてのJPRの性格を反映して、Muraoka et al. (2010)は森林生態学分野を、Tsuboi and Wada (2010)は光生物学分野を代表しています。Muraoka et al. (2010)は日本のサイトにおける年間を通じた測定データとシミュレーションから、炭素循環のダイナミズムを考える際、個葉の光合成能力などの季節変化を正確に把握する必要があることを、明確に示しました。一方Tsuboi and Wada (2010)は、光シグナルが細胞の中でどのような方向にどのような速度で伝わるのかを、巧みな実験系を用いて明らかにしました。2つの論文とも、日本の植物学が長年にわたって築き上げてきた研究の歴史を反映した、土台のしっかりとした、優れてオリジナル性の高い論文です。

 加えて編集委員会では、ISIのデータベースに基づき、2008年にJPR誌に掲載された論文から、最も引用回数の高かった論文として、Most-Cited Paper 賞を次の論文に授与することに決定いたしました。

・Toru Tokuoka (2008) Molecular phylogenetic analysis of Violaceae (Malpighiales) based on plastid and nuclear DNA sequences. J Plant Res 121 (3): 253-260.

 この論文は系統進化学分野からで、先の2論文と合わせて受賞3論文により、3つの分野をカバーできたのは、JPR編集委員会としても嬉しいことです。Tokuoka (2008)は形態的に多様なスミレ科について、塩基配列データに基づきその系統を推定構築し、それに基づいて花形態や種子の特性などの進化傾向を論じています。この論文は発行後、2009年と2010年の2年間に、14回も引用されています。しかも幅広い分野の論文に引用されており、高いインパクトを与えたものであることが分かります。JPR 誌の地位を高めてくれた功績を称えたいと思います。

 JPR誌は以上の3論文のような質の高い論文を掲載できたことを誇りに思います。ここに、受賞者のみなさんにお祝いを申し上げるとともに、皆様にご報告申し上げます。

JPR編集委員長 塚谷 裕一

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