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2012年度JPR論文賞講評

[お知らせ]  2012年6月15日

2012年度JPR論文賞

 Journal of Plant Research (JPR)編集委員会は、厳正な審議の結果、このほど次の2本の論文を、2012年のBest Paper賞の受賞論文として決定いたしました。

・Hidenori Tsuboi and Masamitsu Wada (2011) Chloroplasts can move in any direction to avoid strong light. Journal of Plant Research 124: 201-210

・Masao Nishimura and Hiroaki Setoguchi (2011) Homogeneous genetic structure and variation in tree architecture of Larix kaempferi along altitudinal gradients on Mt. Fuji. Journal of Plant Research 124: 253-263

 上の2本は、昨年発行のJPR誌に掲載された原著論文から、editorial boardメンバーの間での2回の投票、そしてその結果に基づく編集委員会での審議の結果、選ばれました。総合誌としてのJPRの性格を反映して、 Tsuboi and Wada (2011)は光生物学分野を、Nishimura and Setoguchi (2011)は生物地理学分野を代表しています。Tsuboi and Wada (2011)は、ホウライシダとシロイヌナズナの葉緑体が強い青色光を避けて動くときの方向性に関する解析で、なんと昨年度のJPR論文賞受賞論文Tsuboi and Wada (2010)と同一著者の組み合わせになるものです。同一著者の2年連続での受賞は、JPR論文賞でも初のケースとなります。継続して質の高い論文をJPRに投稿していただいていることに敬意を表したいと思います。一方Nishimura and Setoguchi (2011)は、若い火山である富士山において日本の高山帯に普通にあるべきハイマツが無く、その代わりにカラマツが生育し、それが標高に沿って樹形が直立・旗状・テーブル状に顕著に変化していることに着目した研究で、そのような多様な形態を示すカラマツが、一方では全山で遺伝的に均一な構造になっていることを、マイクロサテライト遺伝子座の多型解析で明確に示した論文です。2つの論文とも、それぞれの研究室の得意分野を最大限に生かした、独壇場と言える研究で、日本の植物学の現在の実力をよく示す、優れた論文と評価されました。

 加えて編集委員会では、ISI Web of Knowledgeの引用データに基づき、2009年にJPR誌に掲載された論文から、最も引用回数の高かった論文として、Most-Cited Paper 賞を次の論文に授与することに決定いたしました。

・Hiroki Miwa, Atsuko Kinoshita, Hiroo Fukuda and Shinichiro Sawa (2009) Plant meristems: CLAVATA3/ESR-related signaling in the shoot apical meristem and the root apical meristem. Journal of Plant Research 122: 31-39

 これは2007年度の日本植物学会奨励賞受賞者である澤進一郎博士が、受賞を機に3名の共著者と共にlast authorとして寄稿してくださった総説で、現在、植物の発生生物学においてホットな分野の一つである頂端分裂組織の制御系、特にWUS-CLV系を中心に、この時点での理解を簡潔にまとめた概説になっています。タイムリーな総説であったこと、この分野を先導する研究チームによる総説であることから、発行後、2011年の12月までに17回も引用されており、その後も引き続き引用されております。その功績をここに称えたいと思います。

 JPR誌は以上の3論文のような質の高い論文を掲載できたことを誇りに思います。ここに、受賞者のみなさんにお祝いを申し上げるとともに、皆様にご報告申し上げます。

JPR編集委員長 塚谷 裕一


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