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2013年度JPR論文賞講評

[お知らせ]  2013年6月13日

2013年度JPR論文賞

 Journal of Plant Research (JPR) 編集委員会は、厳正な審議の結果、このほど次の2本の論文を、2013年のBest Paper賞の受賞論文として決定いたしました。

Kimitsune Ishizaki, Maiko Nonomura, Hirotaka Kato, Katsuyuki T. Yamato and Takayuki Kohchi (2012) Visualization of auxin-mediated transcriptional activation using a common auxin-responsive reporter system in the liverwort Marchantia polymorpha. J. Plant Res. 125: 643–651

Hitoshi Sakio and Takehiro Masuzawa (2012) The advancing timberline on Mt. Fuji: natural recovery or climate change? J. Plant Res. 125: 539–546

 Best Paper賞は、2012年発行のJPR誌に掲載された原著論文から、Editorial boardメンバーによる2回の投票、そしてその結果に基づく編集委員会での審議の結果、選ばれました。総合誌としてのJPRの性格を反映して、Ishizaki et al. (2012)は植物生理学分野を、Sakio and Masuzawa (2012)は植物生態学分野を代表しています。Ishizaki et al. (2012)は、陸上植物の発生過程で重要なはたらきをするオーキシンによる分子制御機構が、すでに非維管束植物であるゼニゴケで始まっていたことを示す論文です。モデル植物であるシロイヌナズナで得られた知見をいかして、植物生理学の重要課題に進化の視点から切り込んだ優れた論文です。一方、Sakio and Masuzawa (2012)は、富士山森林限界の動態を21年間調査した結果、森林限界が急速に上昇していたことを、パッチを構成する樹種の分析から明らかにした論文です。富士山の特性を生かした研究は、昨年のNishimura and Setoguchi (2011)に続く受賞です。森林限界上昇の原因について、噴火後の植生の自然回復のほかに気候変動の影響を指摘しており、今後も継続した研究が期待されます。

 加えて編集委員会では、ISI Web of Knowledgeの引用データに基づき、2010年にJPR誌に掲載された論文から、最も引用回数の高かった論文として、Most-Cited Paper 賞を次の論文に授与することに決定いたしました。

Takeshi Obayashi and Kengo Kinoshita (2010) Coexpression landscape in ATTED-II: usage of gene list and gene network for various types of pathways. J. Plant Res. 123: 311–319

 この論文は、2010年に発表された論文のなかで被引用回数22回を記録しています。Gene coexpression analysisは、膨大な数の遺伝子の発現に関する情報を、「同じ生理、発生条件で発現する遺伝子は互いに機能的に相関するに違いない」というコンセプトでおこなわれるインフォーマティクス手法で、すでに植物分子生物学者の間では広く用いられています。筆頭著者の大林博士は、その先駆者であり、2009年には日本植物学会特別賞(技術)を受賞しています。本論文は、その受賞をうけた招待論文であり、大林博士には重ねての受賞となりました。
 JPR誌は以上の3論文のような質の高い論文を掲載できたことを誇りに思います。ここに、受賞された方々にお祝いを申し上げるとともに、会員の皆様にご報告申し上げます。

JPR編集委員長 西田 生郎

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