補助金等支出明細書

法人名 （社）日本植物学会

１．補助金等の名称 平成２２年度科学研究費補助金

　　　　　　　　「研究成果公開促進費研究成果公開発表（Ｂ）」

２．事業の目的及び内容 　

（１）目的

本年は名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される。COP10では生物多様性の保全、持続可能な利用、および適切な利益分配について、さまざまな議論が行われる。この議論に積極的に参加するためには、前提として世界および日本において、生物はどのような多様性を持っているか、そしてそのような多様性が現在までどの程度損なわれてきたかについて、正確な事実情報を科学的に把握する必要がある。本学会では、今日に至るまで、植物に関する多様な情報を継続的に集積し、多様性が生じてきた過程や機構を解明してきた。それらの成果を踏まえて、一般市民やこれから生物学を志す高校生に「生物多様性研究の現状と課題」を紹介し、COP10の成功を支援したい。

（２）具体的な内容

植物の多様性研究に関して、全世界での取り組み、日本国内での研究、愛知県内での研究について4人のシンポジストが講演した。それぞれのシンポジストとそのタイトル、内容は以下である。

・伊藤元己（東京大学）「世界の植物多様性研究－生物多様性情報の集積と活用」

地球規模生物多様性機構（GBIF）の生物多様性情報に関する国際的な活動やそれらの情報を用いた解析例が紹介された。

・矢原徹一（九州大学）「日本の植物多様性研究－全生態系保全をめざして」

日本の生物多様性の保全に関する研究の現状と課題について紹介された。具体的には技術開発・対策の例として、九大新キャンパス生物多様性保全事業で実施した森林移植・全種保全の取り組みが報告された。

・村上哲明（首都大学）「植物多様性の分子生物学的基礎－同じ植物の種（しゅ）でも、場所が違えば異なる遺伝子をもっている」同じ植物の種であっても、遺伝子（DNA）のレベルで見れば、多様な遺伝子をもつ個体が存在していることが明らかになってきている。その例としてウワミズザクラ、ホオノキ、シイおよびシイシギゾウムシ、ハナノキなどの研究例が紹介された。

・芹沢俊介（愛知教育大学）「愛知県の植物多様性研究－市民参加の調査と最近認識された新種の植物」愛知県植物誌には現在まで約12万点の標本資料を蓄積され、愛知県にどのような在来維管束植物が生育しているかの把握ができつつあることが報告された。この調査に市民の参加が大きく貢献したことなど、愛知県の植物多様性に関する調査研究の現状と課題について紹介された。

会場には、一般市民に加え、ポスター発表をした高校生も多数参加し、250名もの参加があった。講演終了後にパネルディスカションが行われ、熱心な議論と質疑が行われ、終了時間を大幅に超過するほどであった。

３．交付先の公益法人の名称 （社）日本植物学会 　

４．交付実績額 　　　　 　1,300千円（A）

５．補助金等における管理費 　

　 （１）人件費 　 　　161千円

　 （２）一般管理費　　　 　 81千円

　 （３）その他の管理費 　

　 　 内容 金額

　 　 　 郵送代 　　　　　105千円

　 　 　 設営代　　　　　 115千円

　 　 印刷代　　　　　 838千円　

　　　　　　合計 1,058千円

　 　　　　 合計　　　　　　　 1,300千円

６．外部への支出 　

　 （１）外部に再補助・再委託されているものに関する支出 　

　 　 支出内容 支出先 金額

　 　 　 　 　 千円

　 　 合計 0千円（B）

　 （２）（１）以外の支出 　 　

　 　 支出内容 支出先 金額

　 　 　 　 合計 0千円

７．その他 　 　

　 内容 金額

　 　 　 　 千円

　 合計 0千円

８．再補助・再委託等の割合 　 0%(B/A)