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第1回配信(2006年4月4日)「ヤブヘビイチゴ」

Dynamic Behaviors of Silent Plants
静なる草木たちの躍動

バラ科 ヤブヘビイチゴ Duchesnea indica Focke (Rosaceae)

 おままごとのデザートの定番だった。初夏の道ばたに真っ赤な苺を見つけ,宝物のように葉っぱのお皿に盛りつけていると,母親に「蛇苺(へびいちご)」と教えられた。そのとたん,毒々しいイメージが湧いてきて,捨ててしまった。当時は,口にする勇気は無かったが,無毒。後年,植物学を志すようになって食べてみたら,いわゆる「不味」。幼心に感じた大人達の不思議な無関心が理解できた。
 ヤブヘビイチゴは,近縁種のヘビイチゴ Duchesnea chrysantha Miq. と同様に,地面を「蛇」の様に匍匐する。本種の方が,偽果は大きく,真っ赤な光沢が目立つ。ヘビイチゴにくらべて,やや日陰に生育するので,「藪(やぶ)ヘビイチゴ」である。「美味」種の多いキイチゴ属 Rubus や,オランダイチゴ属 Fragaria の花が白からピンクであるのに対し,「不味」の本種の属すヘビイチゴ属 Duchesnea の花は黄色である。偽果の成熟には,およそ1ヶ月を要する。

撮影地:岐阜県山県市
撮影日:2005年05月08日07:22~06月10日06:18
撮影期間:約33日間
第1回 配信 2006年4月1日

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