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公益法人制度改革に関するお願い

[お知らせ]  2009年6月 8日

平成21年4月22日
公益法人改革担当副専務理事
園池公毅

 公益法人制度改革に関する法律が平成18年5月26日に成立し,現在,法人制度は大きく変わりつつあります.以下に述べますように,全ての公益法人は昨年12月に特例民法法人に移行し,5年間の間に,すなわち平成25年11月30日までに,一般社団法人になるか,公益社団法人になるかを選択し,そのための移行の申請をしなくてはなりません.
 公益社団法人には,寄付税制上の優遇措置があるなどの利点がありますが,それらは少なくとも現時点において植物学会の会計上さほど大きな意味は持ちません.実際上は,公益法人という名前と,それに伴う信用が最大のメリットであると考えられます.一方で,公益法人として認められるためには一定割合以上の公益支出など,いくつかの条件が存在し,公益認定の申請時にそれらの条件を満たす必要があると同時に,その後もその条件の範囲内で活動することが必要となります.また,事務的にも公益社団法人の場合の方がより多くのものを要求されます.それに対して,一般社団法人の場合には,それらのデメリットはなくなりますが,基本的に書式を満たした申請がなされれば設立が認められる法人ですので,社会的な信用は期待できません.植物学会として,どちらの道をとるか,この1—2年の間に決断しなくてはなりません.
 同じ問題は,全国の約25,000の公益法人が抱えていますが,実際に移行申請が行なわれたのは,昨年の12月から今年の3月末の段階で114件(内移行認定申請89件)です.単純計算では,1週間に100件ずつ移行申請があるはずですから,多くの法人は今後の動向をみていると考えられます.その中で,平成21年3月25日から4月16日にかけて,初期に認定を申請した13の法人が公益法人として認可されました.どのような場合に公益性が認められたかという実際の例は,今後の判断の重要な指針になると思われます.ただ,学会関係で公益認定を受けた法人は今のところまだありません.法人の形態は,植物学会の将来を律する重要な選択となりますので,あらゆる角度から検討を行う必要があります.そこで,ここに会員の皆様に制度改革の概要をお伝えすることを目的に,公益制度改革の学会への対応を考える際の論点を以下に整理しました.「1.公益法人制度改革の骨子」で全体の概略を説明し,「2.一般法人への移行」で一般法人へ移行する場合の対応を,「3.公益性の認定基準」以下で主に公益法人へ移行する場合の対応についてまとめてあります.
 学会の将来を考えるにあたって会員の皆様方のご協力をお願いすると共に,法人制度改革に対する対応に関して,皆様のご意見をお聞かせ頂ければと思います.ご意見は事務局までメールでお送り下さいますようお願い致します.
1. 公益法人制度改革の骨子
(1)公益性と法人格取得の分離
 従来は,公益性を認められて初めて法人格を取得できたが,新制度においては,一般社団法人・一般財団法人が新設され,これらの中で,公益性を持つ法人を公益社団法人・公益財団法人として認める,という形になる.
(2)一般社団法人と一般財団法人の設立要件
 法人法の要件を満たせば登記のみで設立可能(準則主義:NPO法人よりも設立要件は甘い).
(3)新制度への移行
 A. 現行の社団法人・財団法人は平成20年12月1日に自動的に特例民法法人に移行(=移行済み).
 B. 5年間の移行期間中(平成25年11月30日まで)に公益法人または一般法人への移行申請を行なう(行なわなかった場合は解散).認定の結果が出るまでには少なくとも数ヶ月かかる.
 C. 期間中に申請が不認定になった場合は再申請が可能だが,移行期間の終了後に不認定になった場合は解散となる.
 D. 一般法人へ移行する際には,現有の公益財産を公益目的に消費する計画の提出が求められる.消費が終わるまでは,公益法人としての指導監督を受けることになる.次の「2.」を参照.
(4)認定の単位
 公益認定は,都道府県単位,もしくは内閣府で行なう.事務所が東京だけにある場合,東京都に認定申請をするのが原則だが,法人の活動が全国にまたがっていることが定款上明らかな場合は,内閣府に認定申請をすることになる.植物学会の場合は内閣府に認定申請をすることになるだろう.
(5)認定の取り消し
 公益認定がなされた後,継続的に公益法人のガイドラインに違反するような事態になった場合,認定が取り消され法人が解散となる可能性がある.ただし,ある年に,突発的原因によって公益認定ガイドラインに違反することがあっても,その単年度の要因によって認定を取り消されるようなことはない.
2.一般法人への移行
(1)移行申請
 一般法人の設立は上でも述べたように準則主義なので,制度設計がきちんとしていれば設立は申請だけで認められる.しかし,現行の公益法人が一般法人へ移行する際は,現在持っている財産は,公益目的に費消すべき財産であると考えられるため,その費消計画を策定し,移行申請をする必要がある.一方で,公益法人への認可申請では生じないような新たな問題が一般法人への移行申請において生じる可能性は低いと考えている.
(2)移行後の監督
 移行後は,公益目的財産が完全になくなるまでは,公益法人として指導監督下におかれる.現在の学会の財産は,そのほとんどが公益目的財産として扱われると予想される.ただし,「費消」というのは,所有する財産を0にすることではなく,毎年の公益支出の累計額が最終的に当初の財産保有額を上回った時点で財産が費消されたと考える.公益目的財産が費消された段階で,純粋の一般法人として指導監督を離れる.
(3)税制
 「4.新制度における税制」で後述するように,公益目的事業に対する法人税は,一般社団法人であっても非営利性が徹底されている法人においては,非課税となる.一方で,寄付に対する優遇措置が受けられる特定公益増進法人にはなれない.
3.公益性の認定基準
(1)収支相償
 「公益目的事業に係わる収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えない」ことが要求される.これは,二つの段階で判断され,まず,公益目的事業ごとに収入と費用を判断し,次いで会計全体の収入・費用を比較する.ただし,単年度で必ず赤字が出ることを要求するものではない.剰余金は,公益目的に係わる資産取得,改良に充てるための資金に繰り入れられていれば,基準は満たされていると判断される.また,当年度の黒字と同額程度の赤字を,翌年度の事業拡大によって生み出すのでも構わない.
(2)公益目的事業比率50%以上
 A. 公益目的事業の定義(学会の場合)
  1. 学術および科学技術の振興を目的とする
  2. 不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与する
 B. 事業区分
  1. 学会誌の出版=「技術開発,研究開発」—「研究」
  発行物が,何らかの公益目的事業についての情報を普及するための手段として発行されるものであれば,当該発行も当該公益目的事業の一環と整理することが可能.発行物によって広く情報が普及されることが望ましいが,その分野を専攻する研究者の大半で構成される法人における学会誌の発行が学術の振興に直接貢献すると考えられる場合,配布が社員に限定されていても,「普及」に当たるものと考えられる.学術刊行物の発行が公益目的に認められるかどうかの判断は,主に内容で判断される.出版をSpringerのような商業出版社に委託していること自体は問題ない.大学などからの最新の研究成果が出版されているのであれば大丈夫だろう.(論文の選考という事業が本体事業で,選考した論文を普及する発行が密接不可分になっている場合,この論文の選考が「表彰,コンクール」という事業区分の観点から公益目的事業か否かをチェックすることとなる.)
  2. 大会=「講座,セミナー,育成」—「学術集会」
  専門知識・技能などの普及や人材の育成を行う事業.一般に開かれている必要がある.「一定の質が確保されているか」が問われる.シンポジウムと異なり,一般の発表では,「発表者を育成する」という観点を認めさせることが必要になるかも知れない.
  3. 学会賞=「表彰,コンクール」—「◯◯賞」
  部内のものに対する表彰は対象から除く.学会賞の応募者を学会員に制限すると公益目的には認められない可能性がある.
(3)遊休財産額の制限
 現在,「内部留保の上限」という形で指導監督基準によって制限されている規制は,「遊休財産額の上限」という形に変更される.遊休財産は,特定の目的・使途を持たない財産で,これが1年分の公共目的事業費を下回ることが要求される.公益事業のための,限度額・活動見込みがはっきりしている特定費用準備資金は遊休財産から除外される.現在の基本財産は,そのままでは遊休資産に分類される.公益目的保有財産とするためには,特定の目的・使途を設定する必要がある.また,特定費用準備資金は,支出の目的と時期が明確になっている必要があり,JPR刊行安定化基金のような,「補助金が途絶えた時のため」といった理由では認められない可能性がある.実際には,認定委員会の個別の判断となるので,実際に認められるかどうかは予想がつかない.
4.新制度における税制
(1)法人税
 公益法人に加え,一般法人の中で「非営利性が徹底された法人」にあっては,従来の公益法人と同様,収益事業についてのみ課税.非営利性が徹底されているかどうかの基準は,法人法によるものではなく,税制上の認定である.「余剰金の分配を行なわない旨の定めが定款にあること」などの条件によって認定される.現公益法人であれば問題ないと思われる.
(2)寄付税制
 公益法人の場合にのみ特定公益増進法人に該当する.特定公益増進法人に対する寄付おいては,個人の場合は寄付額から5千円を差し引いた額を個人の所得から控除でき,一方,法人の場合は,(所得金額の5%+資本金額の0.25%)/2を限度として損金に算入できる.一般法人には適用されない.
5.公益法人の制度設計上の問題点
(1)理事会
 A. 「理事会」という名称
  現在の「理事会」は法律上の名称ではない.新制度においては,全ての法人で理事会がおかれていない状況になると解釈される.一般社団法人においては理事会は必要ではないが,公益社団法人では理事会が必置の機関となる.
 B. 理事の種別
  代表理事・業務執行理事・理事にわけられる.代表理事のみが法人の代表権を持つ(現在は各理事が代表権を持つ).
 C. 代表理事の選任
  法令上は理事会が選任する.理事会が会員選挙の結果を参考とする旨を定款に定めることは可能.最初の代表理事については,(法律上の理事会は最初存在しないので)定款に記述するなどの方法が考えられる.
 D. 理事の任期
 選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで(任期は選任決議の時より起算する).
 E. 理事会の開催
  三ヶ月に一回以上.ただし,定款で毎事業年度に四箇月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めることができる.(つまり,定款で定めれば現状通りでよい)
 F. 理事会における議決権行使
 理事会は過半数の出席をもって成立する.理事会においては,議決権の代理行使や,書面及び電子的な方法による議決権の行使は認められない.ただし,理事会をテレビ会議で開催することは認められる.また,理事全員と監事の同意のもとに,メールにより議案の内容を理事と監事の全員に伝達し,事務方が理事全員から議案に同意する旨の電子メールを受け取り,監事に異議がないことを確認した上で,理事会決議をする手続きを定款で定めることは可能.
(2)社員総会
 A. 社員総会の議決
  過半数の出席により成立した総会において過半数の賛成により議決される.代理人,書面,電磁的な方法による議決権の行使も可能.
 B. 社員総会の開催
  「毎事業年度終了後一定の時期」までに開催する必要がある.この他に臨時に開催することができる.
(3)監事
 A. 監事の権限
  監事は,理事会に出席する義務及び権限を有する.外部監査を受けない場合は,企業やその他の非営利法人の経理事務を例えば5年以上従事した者を入れる必要がある.
 B. 監事の任期
  監事の任期は,原則として,選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで.
(4)代議員制度
 以下の条件が満たされる場合は代議員制度が認められる.
 A. 「社員」(代議員)を選出するための制度の骨格(定数,任期,選出方法,欠員措置等)が定められていること.
 B. 各会員について,「社員」を選出するための選挙(代議員選挙)で等しく選挙権及び被選挙権が保障されていること.
 C. 「社員」を選出するための選挙(代議員選挙)が理事及び理事会から独立して行われていること.
 D. 選出された「社員」(代議員)が責任追及の訴え,社員総会決議取消しの訴え等法律上認められた各種訴権を行使中の場合には,その間,当該社員(代議員)の任期が終了しないこととしていること.
 E. 会員に「社員」と同等の情報開示請求権を付与すること.
(5)支部
 支部を置く場合,経理は本部と一体化し,支部長は理事会で選任する必要がある.
(6)除名
 社員の除名には社員総会の議決が必要.現在は,理事会の議決によっている.
6.公益法人の会計管理上の問題点
 適正な管理を保証するため,少なくとも事務局員は恒久的に複数にする必要があると考えられる(現在は一時的に二人体制を取っている).また,会計ソフトはバージョンアップが必要.
7.公益(一般)法人認定までに必要な作業
「公益社団法人」または「一般社団法人」という文字を用いる名称の変更,その他必要に応じて一般社団法人法に適合するための機関等の変更,移行認定の認定基準に適合するための所要の変更をしようとする定款変更案の承認が必要.この変更についての主務官庁の認可は不要.


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