ご挨拶
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地球規模での環境変動の中、植物たちは、これまで経験したことの無い自然選択や遺伝的浮動を受け、新しい方向への進化を歩み始めています。そして、今年、我々人類は、新規感染症を原動力とする進化の非情に対し、果敢に挑戦する日々を送ることとなりました。私自身も1月に海外からの来訪者が発病し、軟禁生活と感染対応を自ら経験することとなりました。昨今の研究報告を見ていますと、私のケースで二次感染を防げたのは、生物学者の智恵とともに、いくつもの幸運が重なった結果だったことがわかってきました。
新型コロナウイルスSARS-CoV-2は、感染力が高く、生命に危険を及ぼす可能性があり、治療薬がありません。従って、感染を誘発する可能性を排除することが必須だと思われます。そこで、大会実行委員会で検討を行い、治療薬が普及するまでは集会を行わないことが生物学的に正しいという結論に至りました。
そこで、急な変更で恐縮ですが、本大会はオンラインで行うことにさせていただければと存じます。ただ、植物学会として始めての試みであり、大会実行委員にも経験者がおりません。従って、極めて挑戦的な大会運営になると予想されます。しかし、これまで応募いただきました15シンポジウムのオーガナイザー全員から、オンライン大会にぜひ挑戦したいという力強いお言葉をいただきますとともに、会長、専務理事はじめ、執行部と理事会からも励ましのお言葉をいただき、実行委員一同、たいへん勇気づけられました。
本大会は、私と、東山哲也大会実行委員長、芦苅基行総務の三人で、植物学会大会はどうあるべきかを熟考し(*注1)、「楽しく」、「容易く」、「ためになる」の3Tをスローガンとして運営することを提唱し、実行委員の皆様に賛同いただき、運営を行っております。オンライン大会への挑戦も、想定外の展開に心躍らせ、新境地を夢見る研究者として、3Tの精神を堅持します。
「楽しく」:やっぱ、発見したときの、あの、「見て見て!」、「聞いて聞いて!」のワクワクでしょう。
「容易く」:少子高齢化のもと、大会運営の省力化と全世代型学会は必須です。
「ためになる」:役に立とうが立つまいが、自分やだれかの為になることは共通の価値観でしょうか。
オンライン開催にあたりましても、3Tの原則に基づき、以下の新しい試みを行いたいと思います。
(1) オンライン開催でも多くの会員に参加してもらうため、参加費を値下げしました。
(2) 感染防止のため、参加費支払いに従来の郵便振替に加えて、ネットバンキングを導入しました。
(3) 口頭発表、シンポジウム、ランチョンセミナー、授賞式・受賞講演・植物学会会員の集い、公開講座はZoomのウェビナーで開催します(*注2)。
(4) ポスター発表、高校生企画は、機器書籍展示は、LINK Bizで開催します(*注3)
(5) ミキサー、シニアの集い、懇親会は、それぞれの時間帯での自発的なオンライン飲み会形式で進めます。シニアの集いなど、一部については参加のためのアドレスを全参加者にお知らせします。また、公開を希望される自発的オンライン懇親会のアドレスも全参加者にアナウンスします。
(6) 大会の準備や当日のアナウンスは、参加登録で入力されたメールアドレスや、Slack(ビジネスチャット)を通じて行います。
(7) 全世代に開かれた大会とするため、発表しないシニアの会員、高校生発表の高校生、引率教員の大会参加費を無料にします。
(8) 知識の公平な共有を目指し、大型研究費協賛シンポジウムの数を増やします。
(9) 二酸化炭素削減のため、要旨集のpdfダウンロード一本化を行います(プログラム冊子は郵送でお届けします)。
(10) 植物学の楽しさを具現するため、ジェンダーバランスに配慮し、若手による高校生を主対象としたZoomのウェビナーでの公開講座を行います。
大会申込開始は4月27日を予定しております。 進化の非情を乗り越え、植物学の躍動を維持するため、できるだけ多くの会員の皆様に是非ご参加いただき、ご協力いただけますことを心よりお願い申し上げます次第です。
日本の植物科学の祭典に、所属先やご自宅から、ぜひご参加ください。
2020年4月8日
大会会長 長谷部 光泰
*注1:「30年後の植物科学」http://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review-10th/BSJreview-10thAnniversary.php参照