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JPR和文要旨バックナンバー

ホーム > Journal of Plant Research > JPR和文要旨バックナンバー > 2005年06月号 (Vol.118 No.3)

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2005年06月号 (Vol.118 No.3)

二次共生起原の色素体の微細構造における特徴と色素体分裂

The ultrastructural features and division of secondary plastids.
箸本春樹(東京大学・院・総合文化・生命環境)
 一次共生起原の色素体とは異なる構造的特徴をもつ二次共生起原の色素体の分裂機構について, これまでに得られている形態学的, 分子生物学的知見を紹介し, 考察した. また, ほぼ全塩基配列が決定された珪藻Thalassiosira pseudonanaのゲノム情報の利用によって, 二次共生起原の色素体の分裂機構の研究が分子細胞生物学的に発展し得る可能性にも言及した. (p.163-172)

高緯度北極スバールバール諸島ニーオルスンの氷河後退域における生態系発達と炭素循環

Ecosystem development and carbon cycle on a glacier foreland in the high Arctic, Ny-Alesund, Svalbard.
中坪孝之1, 坂田(別宮)有紀子2, 内田雅己3, 村岡裕由4, 久米篤5, 大塚俊之6, 増沢武弘7, 神田啓史3, 小泉博4 (1広島大・院・生物圏, 2都留文科大・初等教育, 3国立極地研, 4岐阜大・流域圏, 5富山大・理, 6茨城大・理, 7静岡大・理)
 高緯度北極ニーオルスン(北緯79度)の氷河後退域において進められてきた生態系の炭素循環に関するプロジェクト研究の成果をもとに, 同地域の生態系発達と炭素循環の特徴について述べ, 予測される将来の環境変動が高緯度北極陸上生態系の炭素循環に与える影響について考察した. (p.173-179)

亜熱帯性渓流沿い植物コケタンポポSolenogyne mikadoiとその温帯性近縁種S.bellioides(キク科)の葉形態は植物ホルモン及びその生合成阻害剤により異なる影響を受ける

The leaf morphologies of the subtropical rheophyte Solenogyne mikadoi and its temperate relative S. bellioides (Asteraceae) are affected differently by plant hormones and their biosynthesis inhibitors.
伊藤竜一1, 中原規之1, 浅見忠男2, 傳田哲郎11琉球大・理・海洋自然科学科, 2理研・植物機能)
 コケタンポポS. mikadoiS. bellioidesの葉形態がジベレリン, ブラシノライド, 及びそれらの生合成阻害剤の投与により受ける影響を比較した. その結果, ブラシノライドに対する感受性が両種で明確に異なっており, これが両種の形態差の一因である可能性が示唆された. (p.181-186)

熱帯樹種ドリアンの再生器官のCO交換速度の日変化

Diel changes in the CO2 exchange rates of reproductive organs of the tropical tree Durio zibethinus Murray.
小川一治, Ahmad Makmom Abdullah, Muhamad Awang, 古川昭雄名古屋大・院・生命農学, Centre for Environmental Technology and Natural Resource Management, University Putra, Malaysia, 奈良女大・理・生物)
 マレーシアプトラ大学構内の実験林に生育する熱帯樹種ドリアンの再生器官のCO交換速度の日変化が測定された.  日光合成量は日暗呼吸量の花芽で17%,  開花初期で5%,  花芽,  花および果実の混合期で0.3%, 果実のみで24%となった. (p.187-192)

風媒花カシワの性配分:4種類の資源による解析

Sex allocation of a cosexual wind-pollinated tree, Quercus dentata, in terms of four currencies.
石田孝英, 服部耕平, 柴田哲史, 鈴木真祐子, 木村正人(北大・院・地球環境)
 風媒花であるカシワ61個体について, 雄花と堅果の生産量を8年間にわたり調査した. その結果, 雄花および堅果の乾燥重量と炭素重量に基づく解析では雌機能へ偏った投資が示されたが, 窒素重量と燐重量に基づく解析では偏った性配分は認められなかった. 適応的観点からは, カシワの性配分には偏りがないと考えられ, 窒素・燐量に基づく結果が支持された. (p.193-197)

3-Dクリノスタット上でのイネ幼葉鞘の自発的屈曲誘導機構:表層微小管の配向変化

Cellular basis for the automorphic curvature of rice coleoptiles on a three-dimensional clinostat: Possible involvement of reorientation of cortical microtubules.
佐伯瑞枝1, 藤田宏1, 曽我康一1, 若林和幸1, 神阪盛一郎2, 山下雅道3, 保尊隆享11大阪市大・院・理, 2富山大・理, 3宇宙航空研究開発機構)
 疑似微小重力環境下でのイネ幼葉鞘の自発的屈曲では, 先行して細胞壁伸展性に差が生じるが, さらにその前に表層微小管の配向変化が起こった. これらの変化に対する光照射及び微小管破壊剤の効果と合わせて, 微小管の配向変化が自発的屈曲の原因となる可能性が示された. (p.199-205)

高塩濃度下におけるSuaeda salsa の二種類の種子の発芽に及ぼす植物生長調節物質, 一酸化窒素, 硝酸塩, 亜硝酸塩と光の影響

The effect of plant growth regulators, nitric oxide, nitrate, nitrite and light on the germination of dimorphic seeds of Suaeda salsa conditions.
Weiqiang Li1, Xiaojing Liu 1, M. Ajmal Khan2, 山口信次郎31中国科学院・石家荘研, 2Univ. Karachi, Dept. Botany, 3理研・植物センター)
 耐塩性植物であるSuaeda salsaは形態的に異なる二種類の種子を生産する. 本研究では, 様々な環境下におけるこれらの種子の発芽能や植物ホルモンに対する応答性を解析し, それぞれの種子の生理学的特徴を明らかにした. (p.207-214)

トランスジェニック・イネにおいて, オオムギ1, 3-b-glucanase isoenzyme GIII 遺伝子プロモータの活性化はサリチル酸依存性を示す.

Activation of the gene promoter of barley 1, 3-b-glucanase isoenzyme GIII is salicylic acid (SA)-dependent in transgenic rice plants.
Yun-Feng Li, Rui Zhu, Peilin Xu (Biotechnology Research Center, Zhongshan University, China )
 オオムギから単離された7種の1, 3-b-glucanaseのうち, サリチル酸に応答して発現するGIII isoenzymeのプロモータ解析を, トランスジェニック・イネの系を用いて行なった. その結果, -362から+106 bpの領域に, サリチル酸による強い発現誘導能を認めた. (p.215-221)

ホウライシダ前葉体で発現している遺伝子配列の解析

Analysis of expressed sequence tags in prothallia of Adiantum capillus-veneris.
山内大輔1, 2, 須藤慶太3, 鐘ヶ江弘美3, 堀口達矢4, 松岡健4, 福田裕穂4, 和田正三2, 3 (1兵庫県大院・生命, 2基生研・光情報, 3都立大院・理, 4理研・植物センター)
 ホウライシダ前葉体のcDNAライブラリーを用いて7, 100の独立したESTグループが得られた. その中に既知の遺伝子と相同性を示す1, 608 グループと, 機能未知の遺伝子との相同性を示す1, 092グループが含まれていた. この解析結果は, シダ植物を用いた研究に寄与するものと考えられる. (p.223-227)

SOC1/TM3-like遺伝子の遺伝子重複と機能の進化

Characterization of TrcMADS1 gene of Trillium camtschatcense (Trilliaceae) reveals functional evolution of the SOC1/TM3-like gene family
中村徹, 宋仁子, 福田達哉, 横山潤, 牧雅之, 落合利紀, 亀谷寿昭, 菅野明(東北大 院・生命科学)
 Trillium camtschatcenseからMADS-box遺伝子であるSOC1/TM3-like遺伝子 (TrcMADS1)を単離した. 系統解析や発現解析の結果から, TrcMADS1は原始的な機能をもち, その後の遺伝子重複によりSOC1/TM3-like遺伝子の機能が特殊化している事が示唆された. (p.229-234)

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