日本植物学会

  • 入会案内
  • マイページログイン
  • 寄付のお願い
  • よくあるご質問
  • BSJ_pr
  • JPR_news
  • YouTube
  • English

JPR和文要旨バックナンバー

ホーム > Journal of Plant Research > JPR和文要旨バックナンバー > 2005年04月号 (Vol.118 No.2)

« 前号  |   表紙一覧へ戻る   |  次号 »

2005年04月号 (Vol.118 No.2)

核小体の基本的サブ構造であるヌクレオロネマについて

Nucleolonema as a fundamental substructure of the nucleolus.
佐藤成一,矢野弘之,槙本祐治,金田剛史,佐藤康(愛媛大学・理・生物)
 被子植物の核小体には,数珠玉構造をしたヌクレオロネマが含まれている.個々の数珠玉は,中心部に不活性状態のリボソーム遺伝子をもち,外側に向かって,リボソーム(r)RNA転写部,前駆体rRNAのプロセシングおよびリボソームの組立領域を同心円状に配列して構築されている. (p.71-81)

マイクロサテライトマーカーで明らかになった最終氷期の逃避地近くのスギ(Cryptomeria japonica)天然林の高い対立遺伝子変異

Microsatellite markers reveal high allelic variation in natural populations of Cryptomeria japonica near refugial areas of the last glacial period.
高橋友和1,谷尚樹2,平英彰1,津村義彦21新潟大・自然科学,2森林総研・森林遺伝)
 マイクロサテライトマーカーを使ってスギ天然林29集団の遺伝的多様性及び遺伝構造の調査を行った.その結果,集団間の遺伝的分化は低く,明瞭な地理的な構造もなかった.しかし,花粉分析から明らかになっている最終氷期の逃避地の近くの集団では,現在でも高い対立遺伝子変異を維持していることが明らかとなった. (p.83-90)

細胞増殖因子(PCNA)とDNA損傷誘導因子DnaJの相互作用

Interaction between proliferating cell nuclear antigen (PCNA) and a DnaJ induced by DNA damage.
山本大地1, 森陽子1, 石橋豊隆1, 内山幸伸1, 上田忠正2, 安藤露3, 橋本純治2, 木村成介1, 坂口謙吾1 (1東理大・理工,2農水省・生物研, 3農水省・生物研/STAFF研)
 熱誘導タンパク質として知られていたDnaJ(Hsp40)が種々のDNA損傷により誘導されることを明らかとした.またDnaJが細胞増殖因子であるPCNAと相互作用することも明らかとなった.これらの結果から,DnaJがDNA複製や修復に関与していることが示唆された. (p.91-97)

アジアの一葉植物Monophyllaea glabra (イワタバコ科)の発生形態,特に花序を中心として

Developmental morphology of the Asian one-leaf plant, Monophyllaea glabra (Gesneriaceae) with emphasis on inflorescence morphology.
綾野まどか,今市涼子,加藤雅啓1日本女子大・理, 2東京大・理・院)
 大型化した子葉の基部に花序を生じるモノフィレア属のM. glabra(タイ南部に分布,分子系統樹の最初の分岐群)の個体発生を明らかにした.本属の花序は,祖先群がもつ「茎に対生する異形葉それぞれが花序を腋生する,1本のシュート」の短縮によって進化したことが示唆された. (p.99-109)

被子植物におけるPENDタンパク質の存在と性質

Occurrence and characterization of PEND proteins in angiosperms.
寺沢公宏1, 佐藤直樹 21埼玉大・院・理工学, 2東京大・院・総合文化)
 PENDタンパク質は,もともとエンドウの葉緑体包膜に存在するDNA結合タンパク質として単離されたが,本研究では,さまざまな被子植物に相同タンパク質をコードする遺伝子が存在することを示した.アブラナ科の相同タンパク質は,葉緑体に局在し二量体を形成する点で,エンドウのものとよく似ていた.(p.111-119)

イチョウの小胞子形成期におけるγチューブリンと微小管形成

γ-Tubulin and microtubule organization during microsporogenesis in Ginkgo biloba.
Brown R. C., Lemmon B. E. (Univ. Louisiana-Lafayette, U.S.A.)
 裸子植物の小胞子形成時のγチューブリンと微小管形成に関する最初の報告である.イチョウの減数分裂は,種子植物に典型的な多色素体性で,微小管配列は減数分裂と細胞質分裂時にいろいろな場所に見られた.(p.121-128)

ヤブソテツ属(オシダ科)の側系統性: rbcL とtrnL-F 塩基配列データからの証拠

Paraphyly of Cyrtomium (Dryopteridaceae): evidence from rbcL and trnL-F sequence data.
Lu J.-M., Li D.-Z., Gao L.-M., Cheng X.,and Wu D. (昆明,中国科学院) 
 ヤブソテツ属40種のうち19種と近縁属8種について,rbcLtrnL-Fの塩基配列データに基づいて系統解析を行った結果,ヤブソテツ属は側系統群であることが分かった.即ち,調べた19種のうち,16種が単系統群(狭義ヤブソテツ属)となり,残りBalansana節の3種と Cyrtogonellum, Polystichum subacutidens,Cyrtomidictyum が単系統群を作った.(p.129-135)

ヘビノネゴザの配偶体における鉛耐性と蓄積

Lead tolerance and accumulation in the gametophytes of the fern Athyrium yokoscense.
蒲池浩之1, 小森一平1, 田村英生2, 澤 芳美1, 唐原一郎3, 本間善弘3, 和田直也4, 川畑常眞5, 松田健二5, 池野 進5, 野口宗憲1, 井上 弘11富山大・理・生物圏環境, 2中部電力(株)・エネルギー応用研究所, 3富山大・理・生物, 4富山大・極東地域研究センター, 5富山大・工・物質生命)
 鉛超集積性のシダ植物であるヘビノネゴザにおいて, その配偶体世代における鉛耐性と蓄積能について検討した.ヘビノネゴザの配偶体にも胞子体同様, 鉛に対する耐性と蓄積能を有することが分かった.また, そのメカニズムの一端として, ポリフェノール化合物であるプロアントシアニジンの関与が推定された. (p.137-145)

カナリー島の絶滅危惧種木本性ノゲシSonchus gandogeri(キク科)の遺伝的解析と保全

Genetic analysis and conservation of the endangered Canary Island woody sow-thistle, Sonchus gandogeri (Asteraceae).
Kim S.-C.1, Lee C.1, Santos-Guerra, A.2 (1Univ. California, U.S.A., 2Canary Islands, Spain)
 カナリー島に僅か2集団しか知られていない絶滅危惧種Sonchus gandogeri(キク科)の平均の遺伝的多様度は,他の絶滅危惧種に比べれば高いことが分かった.しかし,遺伝的要因よりもむしろ環境や人口要因による絶滅の可能性がある.(p.147-153)

広義マイズルソウ属(ナギイカダ科アマドコロ連)の核形態 

Karyomorphology of Maianthemum sensu lato (Polygonatae, Ruscaceae).
Meng Y., Nie Z.-L., Yang Y. ?P. , Gu Z.-J.(昆明,中国科学院)
 広義マイズルソウ属約35種のうち,中国に生育する9種について核形態の観察を行い,8種が2n=36の2倍体, 1種が2n=72の4倍体であることを確認するとともに,中期染色体の長さの変異について,unimodal, bimodal, trimodalの3型があることを明らかにし,今後の染色体進化の研究に新しい視点を提供した.(p.155-162)

« 前号  |   表紙一覧へ戻る   |  次号 »