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JPR和文要旨バックナンバー

ホーム > Journal of Plant Research > JPR和文要旨バックナンバー > 2005年08月号 (Vol.118 No.4)

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2005年08月号 (Vol.118 No.4)

新編集長からのおしらせ

From the new Editor-in-Chief
西谷和彦(JPR 編集室・東北大・院・生命科学)
 JPR 投稿サイト:http://mc.manuscriptcentral.com/jpr からのオンライン投稿・審査システム開始と紙原稿受理停止の案内.2005年度JPR論文賞(JPR Best Paper Awards, JPR Most-Cited Paper Awards)の発表.(p.235-236)

色素体へのタンパク質輸送:共生による色素体獲得を解明する一つのカギ

Protein targeting into plastids: a key to understanding the symbiogenetic acquisitions of plastids.
石田健一郎(金沢大・院・自然科学・生命科学)
 色素体へのタンパク質輸送機構の理解は,共生による色素体獲得とその多様性を理解する上で最も重要なカギの一つである.この視点にたち,一次および二次共生由来の各色素体について,主要生物群ごとに色素体へのタンパク質輸送に関する研究の現状を整理し,今後進むべき方向と解明すべき問題を提示した.また,これらを比較することにより,色素体の構造とタンパク質輸送機構の多様性を考察した.(p.237-245)

色素体進化の新仮説:再定義された "植物界" が多様化する以前に起きた色素体一次共生 

A new scenario of plastid evolution: plastid primary endosymbiosis before the divergence of the"Plantae," emended.
野崎久義(東京大・院理・生物科学)
 最近,原始紅藻 Cyanidioschyzon merolae の核ゲノム配列を利用して真核植物の系統解析を実施した結果,一次共生色素体の起源に関する新仮説と植物界に関する再定義が提出された.これらを概説し,最近蓄積されているゲノム情報やミドリムシの二次共生色素体の起源に基づき考察した.(p.247-255)

ガガイモ(キョウチクトウ科)の蛾による送粉:口吻の先端で運ばれる花粉塊

Moth pollination of Metaplexis japonica (Apocynaceae): pollinaria transfer on the tip of the proboscis.
杉浦真治(京都大・院・農), 山崎一夫(大阪市立環科研)
 ガガイモの花には,日没後,蛾類(ヤガ科,メイガ科,スズメガ科)が頻繁に訪れ吸蜜を行っていた. ガガイモの花は,吸蜜するために伸ばした蛾の口吻の先端を,花粉塊の付属体ではさんで花粉塊を口吻に付着させていた.(p.257-262)

共存する二種の地中海性常緑硬葉樹における季節的および実験的な乾燥条件への葉組織の水関係の応答

Tissue-water relations of two co-occurring evergreen Mediterranean species in response to seasonal and experimental drought conditions.
Lydia Serrano1 , Josep Pe?uelas2, Rom? Ogaya2 and Robert Sav?3 (1Universitat Polit?cnica de Catalunya, 2Universitat Aut?noma de Barcelona, 3Institut de Recerca i Tecnologia Agroaliment?ries, Spain)
 共存する二つの地中海性広葉樹Quercus ilex L.(ブナ科)とPhillyrea latifolia L.(モクセイ科)を用いて季節的な乾燥条件と実験的な乾燥条件の変化に対する葉組織の水関係パラメータの応答を調べた.浸透圧調節以外に,アポプラスト水画分や細胞壁の弾性の変化が乾燥時の耐性や成長に寄与することを示した.(p.263-269)

葉緑体DNA matK遺伝子と核DNAリボゾームITSによるナゴラン亜連(ラン科)の分子系統 

Molecular phylogenetics of subtribe Aeridinae (Orchidaceae): insights from plastid matK and nuclear ribosomal ITS sequences.
Topik Hidayat 1, 2, 遊川知久3, 伊藤元己(1東京大・院・理・生物,2Dept. Biological Education, UPI Bandung, Indonesia,3国立科学博物館・筑波実験植物園,4東京大・院・総合文化・広域システム)
 ラン科ナゴラン亜連内の系統解析を,葉緑体DNA matK遺伝子と核リボゾームDNA ITSの塩基配列を用いて行った.その結果,(1)ナゴラン亜連の単系統性が支持され,14の単系統クレードが認められた.(2)分子系統樹で認識された単系統群は,従来の分類体系と一致しない.(3)花粉塊の数や唇弁の距の形態など,従来分類上重要視されてきた形質を分子系統樹上にマッピングしたところ,これらの形質では何度も変化が起きていることなどが明らかになった.従来の分類と本研究で認識された単系統群の不一致は,主にこれらの形質のホモプラシーが原因である.さらにPhalaenopsis, Cleisostoma, Sarcochilus属が単系統でないことが示された.(p.271-284)

ヒルギダマシの通気組織の形成と構造

Aerenchyma tissue developing and gas pathway structure in root of Avicennia marina (Forsk.) Vierh.
Hery Purnobasuki, 鈴木三男(東北大・植物園)
 マングローブ植物であるヒルギダマシ(クマツヅラ科)の根における通気組織の形成過程を明らかにし,筍根の皮目の細胞間隙は皮層の通気組織,筍根に生えた吸収根の皮層にある通気組織,筍根を生じている横送根の通気組織,さらに横送根から生えた碇根の通気組織まで連続していることを明らかにした.(p.285-294)

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