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静なる草木たちの躍動

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第2回配信(2006年5月1日)「オオイヌノフグリ」

Dynamic Behaviors of Silent Plants
静なる草木たちの躍動

ゴマノハグサ科 オオイヌノフグリ Veronica persica Poir. (Scrophulariaceae)

 春の青空を映したように,田畑の畦や路傍を,コバルトブルーのカーペットが覆います。でも,オオイヌノフグリ(Veronica persica)の花は,とても短命。「一日花」と言うより,半日花とでも言うのでしょうか。一花は,朝に咲き始め,夕方前には花弁が落ちてしまいます。その上,天気が悪いと、花は充分には開かず,なんとそのまま次の日に落ちてしまうこともあります。それでも、果実(有名な「ふぐり」ですね)は、とても良くつきます。それもそのはず,自らの花粉でも果実ができる(自家和合性)のですから。
 開きはじめた蕾の中では、雄しべの先端(葯)から花粉があふれ,完全開花時には、しばしば、花粉が雌しべの先端(柱頭)にのっています。他の株から昆虫(アブやアリたち)が花粉を運んでこなくても種子繁殖できるたくましい植物です。
 毎年,いつもの場所で,いつもの通り,春を告げてくれるので,多年草と思いきや,はかない越年草(ときに一年草)。日本では、多くが前年の秋に発芽して、冬を越し、開花年内に枯死します。すっかり日本の春の風物ですが,近縁種のタチイヌノフグリ(V. arvensis L.)やフラサバソウ(V. hederifolia L.)と同様に帰化植物。西アジアからヨーロッパを原産地として世界に広がり,今や,国際派。世界各地で春を告げています。

撮影地: 岐阜県山県市
撮影日: 2005年4月18日/2006年4月07日
撮影期間: それぞれ日中約10時間

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