会長挨拶

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2023年度の会長あいさつ

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3月5日に行われた理事会において、2期目2年間の会長職を拝命いたしました。大変遅くなりましたが一言ご挨拶を申し上げます。寺島一郎です。どうぞよろしくお願いします。

早速、3つお願いです。

1.大会にふるってご参加ください。協賛企業の勧誘もお願いします。

2023年の大会では、まず、9月4日(月)にオンラインでポスター講演と植物学会賞奨励賞の受賞講演が行なわれます。移動期間を2日とり、7日(木)~9日(土)には北海道大学で、各種シンポジウム、一般講演、植物学会賞大賞・学術賞・若手奨励賞の受賞講演、高校生ポスター発表、一般公開講座などが行われます。北海道大学の露崎史朗大会会長、藤田知道副会長、田中亮一実行委員長をはじめ多くの方が鋭意準備をすすめておられます。開催情報については大会のHPをご覧ください。大会の成功のためには、みなさまにご参加いただくことが何よりも重要です。露崎大会会長によると、会期は札幌の最もよい季節にあたるそうです。どうぞ、ふるってご参加ください。

協賛してくれそうな企業を思いつく会員のみなさま、是非、勧誘してください。協賛には、商品展示、ランチョンセミナー、大会プログラム集への広告掲載、発表スクリーンでの動画広告、大会参加者へのパンフレット配布サービス、大会ホームページのバナー掲載などがあります。これらが大会運営のための貴重な財源となります。これらについても、大会HPをご覧ください。趣意書などもHPからダウンロードできます。また、以下に繰り返しますが、会員・非会員を問わず、みなさまからの直接の寄付も受け付けていますので、よろしくお願いします。

2024年の大会は宇都宮で行います。篠村知子大会会長(帝京大学)、児玉豊実行委員長(宇都宮大学)らがすでに準備を開始なさっています。宇都宮駅に新設されるホールなども会場の一部となる予定です。

2.会員情報管理システムをご利用ください。

 かつて学会は全会員に会員名簿を送付していました。個人情報保護の観点からこれを廃止し、そのかわりに、伊藤正樹前々広報委員長や郷達明前委員が多大な時間を費やし、多くの用途に対応可能な会員情報管理システムが完成しました。現在は、各種選挙もこのシステムを利用して行っています。個々の会員は、自身の情報を管理し、公開情報を自由に選ぶことができます。特にお願いしたいことは、メールアドレス、専門分野などの基本的な情報をなるべく公開してほしいということです。現在のところこれらの情報を公開している会員が少なく、会員情報管理システムの名簿としての機能は限定的です。積極的な公開をお願いします。また、所属が変わった方や退職された方も更新していただければ幸いです。システムの詳細についてはこちらをご覧ください。ログイン情報のわからない方は事務局にお問い合わせください。後日、未だログインされていない会員のみなさまには、事務局から連絡いたします。

3. 寄付をお願いします。会員以外の植物愛好者への寄付のよびかけもお願いします。

 植物学会では、会員のみならず広く一般の方々に、基礎植物科学へのご支援をいただくための寄付をお願いしています。寄付の種別や手続きの方法については、をご覧ください。現在、植物学会への寄付は、これまでの実績が内閣府の要件を満たしていたため、「税額控除」の適用を受けることができるようになっています。この状態を継続するためにもなるべく多くの方からの寄付が必要です。会員以外の方からも寄付をいただけるよう私たちも努力します。

この2年間、石田健一郎前専務理事、堤千絵前庶務担当理事、吉田大和前会計担当理事、且原真木編集委員長、遠藤求前広報委員長には大変お世話になりました。河野重行前監事には大所高所からのご指導をいただきました。会長の不徳の致すところか、事務局職員の辞職が相次ぎ、石田さん、堤さん、吉田さんには多くの事務仕事も担っていただくことになりました。いくらお礼を申し上げても足りません。2期目の2年間は、野口航専務理事、杉山宗隆副専務理事、大谷美沙都庶務担当理事、平川有宇樹会計担当理事、吉田大和会計補佐委員、且原真木編集委員長、植田美那子広報委員長、各委員会委員、代議員選出理事、代議員、北川佳子事務局長、青木マリ事務職員、見塩昌子編集局員をはじめとするみなさんと協力し、三村徹郎・久堀徹監事のご指導を仰ぎつつ、学会を運営するつもりです。会員の皆様のご支援、ご指導、ご鞭撻をお願いします。

最後に、昨今の学問の状況に関する私見を少しだけ。私は、学問の基本は「先人の肩の上に立つ」ことにあると思います。これまでに何がわかっていて、何をやれば先に進めるのか、という問いが学問展開の端緒となるはずです。このような学問の発展を可能にするためには、継続的な基礎研究や丁寧な教育が必須であると信じています。しかし、大学の運営費交付金が削られたので、基礎研究を不断に続けることが困難になってきました。大きな予算を取りに行こうとすると、「お題を頂戴」しなければならないことが多くなり、「さあ歌え、さあ踊れ」といった活動も強いられます。「選択と集中」が始まって以来、日本の研究がガタガタになっていると思うのは私だけではないと思います。研究費の乏しい研究室はもちろん、逆に豊かな研究室においても、若手の自発性(自分勝手とは違います、念のため)が損なわれているのではないでしょうか。学問が本来の形で進むためには、早急に運営費交付金を増額する必要があります。教育についても同じです。昨今の教科書には、学問の現状のみを煽るような筆致で解説してあるものも目につきます。この点も何とかしなければと思います。北海道大会では、植田美那子広報委員長の企画で「植物科学の温故知新―この30年を振り返り、次の30年を考えよう!」と題する理事会シンポジウムが行われますので、私も思うところを述べる所存です。

私事ですが、私はこの3月で東大理学系研究科を定年退職し、現在は東大の生態調和農学機構(通称、田無農場)の特任研究員として研究を継続させてもらっています。同機構特任教授でAI農業の専門家の平藤雅之さんに「温故知新」の話をしたところ、歴史や情報は全てAIに覚えさせ、研究者は気の利いた質問をすればいい時代がすぐ来るとのこと。研究や教育のスタイルも随分変わるのでしょう。それでも、きちんとした背骨をもつことは必須だと信じています。

 写真は、4月24日に自宅の植え込みで撮影しました。この春のフェノロジーは早く、あっという間にニリンソウ、ボタンが散り、先住者が残してくれたクレマチスの花期もほぼ終わりを迎えました。