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JPR和文要旨バックナンバー

ホーム > Journal of Plant Research > JPR和文要旨バックナンバー > 2022年7月号(Vol.135 No.4)

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2022年7月号(Vol.135 No.4)

JPR Symposium

シロイヌナズナの葉緑体に局在するf型とm型チオレドキシンの光合成制御における機能分担

Okegawa Y, Sakamoto W, Motohashi K (2022)

Functional division of f-type and m-type thioredoxins to regulate the Calvin cycle and cyclic electron transport around photosystem I. J Plant Res 135:543-553

葉緑体局在型チオレドキシン(Trx)は光に依存して光合成を制御する酸化還元タンパク質である。本論文では、f型とm型Trxが協調して炭酸固定反応に関わる酵素の活性化に寄与することを明らかにした。一方、循環的電子伝達はm型Trxにより特異的に制御されると示唆された。(pp. 543-553)

藍藻Synechocystis sp. PCC 6803における呼吸電子伝達と循環的電子伝達の切り分け

Kusama S, Miyake C, Nakanishi S, Shimakawa G (2022)

Dissection of respiratory and cyclic electron transport in Synechocystis sp. PCC 6803. J Plant Res 135:555-564

循環的電子伝達は、ここ数十年にわたって光合成研究者の興味を惹いてきた仮説であるが、未だにその生理活性を捉えた研究は存在しない。本研究では、藍藻においてグリコールアルデヒドが酸化的ペントースリン酸経路を阻害することを見出し、循環的電子伝達と呼吸電子伝達の切り分けに取り組んだ。(pp. 555-564)

光化学系Iでの電子伝達速度は正しく見積もられているか?

Furutani R, Ohnishi M, Mori Y, Wada S, Miyake C (2022)

The difficulty of estimating the electron transport rate at photosystem I. J Plant Res 135:565-577

本報告は、光合成電子伝達鎖における光化学系I(PSI)の量子収率を表すとされるパラメーター、Y(I)が真のPSI量子収率を正しく反映しない可能性を強く示唆し、これまで広く使用されてきた当該パラメーターの取り扱いに警鐘を鳴らすものとなった。また、現存する測定手法ではPSIでの電子伝達速度の正確な推定は難しいことが明らかとなった。(pp. 565-577)

Ecology/Ecophysiology/Environmental Biology

ブラジル産ユーゲニア属植物における種子の乾燥ストレス感受性に関係する形質について

Rodrigues GAG, da Silva D, Ribeiro MI, Loaiza-Loaiza OA, Alcantara S, Komatsu RA, Barbedo CJ, Steiner N (2022)

What affects the desiccation tolerance threshold of Brazilian Eugenia (Myrtaceae) seeds? J Plant Res 135:579-591

ブラジルに分布する5種のユーゲニア属の植物は乾燥ストレスへの感受性の高い種子をつくり、いずれも高い含水率で成熟し散布される。一方で、発芽率が低下する種子の含水率や種子からの蒸発散速度は種間で大きく異なり、これは果実が成熟する時期の気候への適応で説明できることがあきらかになった。(pp. 579-591)

Morphology/Anatomy/Structural Biology

類似した形態の瘤の識別についての解剖学的特徴の有効性

Teixeira CT, Kuster VC, Carneiro RGS, Cardoso JCF, Isaias RMS (2022)

Anatomical profiles validate gall morphospecies under similar morphotypes. J Plant Res 135:593-608

宿主に対する生物刺激によって誘導される植物の瘤は、様々な形態を示す。本研究では、トウダイグサ科ハズ属Croton floribundusに生じる8種類の瘤の外部形態および解剖学的特徴を明らかにした。瘤に特異的な形態は、宿主の葉形成パターンの変異によって生じると考えられる。(pp. 593-608)

Physiology/Biochemistry/Molecular and Cellular Biology

異なる色の仏炎苞を持つアンスリウムにおける統合されたsmall RNAプロファイリングとデグラドーム分析

Lin F, Chen S-P, Lin K-H, Chen C, Yao F, Zhong L, Chen W, Kuo Y-W (2022)

Integrated small RNA profiling and degradome analysis of Anthurium andraeanum cultivars with different-colored spathes. J Plant Res 135:609-626

miRNAは葉、花、果実の着色に重要な役割を果たしていることが知られているが、仏炎苞の色における機能はほとんどわかっていない。本論文では、異なる色の仏炎苞を持つ観賞植物アンスリウム3品種からsmall RNAおよびデグラドームライブラリを作成し、発現差異解析をすることで、アンスリウム仏炎苞の色の決定に関わるmiRNAおよびそのターゲットを同定した。(pp. 609-626)

Technical Note

エノコログサSetaria viridisにおける配偶子および受精卵単離法の確立

Toda E, Kiba T, Kato N, Okamoto T (2022)

Isolation of gametes and zygotes from Setaria viridis. J Plant Res 135:627-633

エノコログサ(Setaria viridis)は、アワ(Setaria italica)の原種とされており、C4植物研究のモデルとして注目されている。本研究では、未受粉のエノコログサ花から雌雄配偶子を、受粉後の花から受精卵を単離する方法を確立した。また、単離した受精卵を培養することで、受精卵は球状様胚および胚性細胞塊へと発生した。(pp. 627-633)

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